エフェクター

Effects Bakery Choco Cornet EQ

2021年 05月 31日 00:25 | カテゴリー: エフェクター
2021年 05月 31日 00:25
エフェクター

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少し前からネットを賑わしているEffects Bakery製品。そのローコストな部分はもちろん、そのコストに似合わない程のコストパフォーマンスが高いことで人気のある製品です。いくつか種類はありますが、そのどれもがメーカー名に由来する「パン」の名前がついているのがとても可愛らしいです。各製品はどれもがミニサイズのケースに、それらのパンを模したイラストが描かれていることからもキュートさが伝わります。

その中でチョココロネのイラストが描かれたのが、このChoco Cornet EQです。大体、自分ではグライコは使わない主義でしたが、このEQはその設定周波数を見て「これは!」と思い、導入したものです。

しかしこのイラスト、目と脚があり、チョココロネのチョコクリームの部分が普通の黄色系なので、どう見ても「ヤドカリ」にしか見えません。いや、それはそれで可愛いのです。

 

そもそもなぜグライコを使わないのか?

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レコーディングでEQを多用する(といってもEQは普通に使うでしょ?)方やアンプのトーンやスピーカーの特性なんかを知っていると分かるのですが、普通のグライコ(例えば6〜10バンドくらいのもの)では、大体が100/200/400/800/1.6K/3.2K/6.4Kあたりの周波数で、アンプやスピーカーの特性に合った周波数がないわけです。

もちろん全体の補正としては使えますが、それならアンプのさらに後ろ(結局はPAなど)に置きたいし、バンド数も多く欲しいのであって、自分の欲しいところには当たらないのです。なので自分で使うのは必ずといっていいほどパライコでした。

パライコなら周波数や幅は自分で決められるし、アンプよりも前なら、バンド数もそんなに必要なく、それでいてノイズも少ないわけです。

おおよそ2〜3ポイントなんです、欲しい帯域って。まずは低域、そして中域、合って高域です。これを周波数で表すと、250Hz、500〜800Hzの間、そして4kHz以上です。これらは全く普通のグライコにはそぐわないのです。さらに、アンプのトーン(Bass、Middle、Treble)にも当てはまらないので、普通のグライコでは使えないのです。

 

自分は音を作りたいのです

Choco Cornet EQの周波数を簡単に説明しましょう。

100Hz

この帯域はギターアンプのLow(Bass)がおよそ100Hzで設定されており、スピーカーの下の再生域が、いって70Hzほどです。レコーディングではこんな下の帯域はベースと丸かぶりするので、カットされるところです。それでもギターらしさを残すため、100Hz前後あたりでローカットします。

ですから、基本的には触らないか、カットの方向です。上げるとブーミーになり、スピーカーを痛める原因ですから、アンプのBass共々、ここの上げ過ぎには注意が必要です。

250Hz

以前アンプの記事でも説明したように、ロックをやる時のスタックアンプの箱鳴り感が欲しいときに上げます。箱鳴り感は、キャビネットがゴンゴンと唸るような感じです。で、ベースとの丸かぶりを少し避けながら、厚みを十分に出せる帯域が、この250Hzです。100Hzを気持ちカットして、その分の厚みをここで稼ぎます。

実際、ライブでもマイク立てるなら、まあ代表的なSM57だったり、e906だったりでも、ちゃんとスピーカーからも再生され、それをマイクでもちゃんと拾えるので、結構いい感じに仕上がります。厚いですよ、この音。

630Hz

ここはそんなに極端にはいじりませんが、Marshallを歪ませた時に少々足してやると厚さが出る帯域です。あんまり上げすぎるとボワボワしちゃいますが、それこそPlexiやJCM800あたりならモダンなJCM900やJCM2000あたりのミッド感が出せるという感じです。なので逆にJCM2000あたりをスクープしてJCM800ぽく仕上げるとかもいいかもですね。

実はMESA/BoogieのMarkシリーズに搭載されたEQで、最も近い周波数に730Hzというのがあります。これは搭載されたEVのスピーカー(一例としてEVM12L BlackLabelなど)に少々盛り上がった中域(500〜1KHzくらい)があり、ここを調整するために設けられたと思われます。有名なセッティングで、ミッドスクープであるV字型のセッティングをよく見かけたことがあるのではないでしょうか?

これが普通のグライコの800Hzまで上がると、アンプにもよりますがすごく調整がしづらいのです。やってみるとわかりますが、多分ですが普通のグライコでこの800Hzをいじる人はなかなかいないと思います。

で、630Hzはいわゆるマーシャルの中域と呼ばれるところでコントロールができない部分(詳しくはここを見てもらうとして)を、積極的にいじれる帯域です。

まあ、マーシャル以外でも割とMidコントロールを受け持つ帯域に近いところですので、それなりに効果が出ます。

1.6kHz

ここは普段はそんなにいじる帯域ではありませんが、よく言われるのはハウリング防止のスクープです。バンドやオケ内でも男性ボーカルとも被りやすい帯域なので基本はカット方向です。普段は使用しないでも良いかもしれません。

4kHz

こちらはアンプのTrebleがガッツリと効いてくる周波数です。また、バンドやオケでは女性ボーカルとかぶる帯域でもあります。

耳に痛くないように抜けを作るなら、アンプ側のトレブルをいつもより少々落としてEQの方を上げるか、ここはアンプのトレブルとの加減でうまく調整を取るようにします。

女性ボーカルとの被りを防ぐなら抜く(カットする)と良いでしょう。

ストラトのスズナリなら8kHzが欲しいところですが、アンプのトレブルを上げて少しEQの方をブレンドしてやるとそれっぽい音が聞こえてきます。

 

ざっくりとですが、およそ何ができるのかおわかりいただけたでしょうか?

標準的な倍数のEQより、かなり積極的な音作りに向いたEQであることがわかります。この「ヤドカリ君」を見つけてから、ちょっと調べてみると、やはり中華系のミニサイズで同じ周波数を持つグライコがいくつかあるのを知りました。

 

しかし、もう一つあるのですよ!

グライコって周波数別のスライダー以外に、大概「Level(またはVolume)」といった最終段のレベル調整ができるようになっています。これは各周波数帯でブースト/カットされて上がった/下がった音量の調整用です。

ですが、これだけですと、その最終段の音量が各周波数に影響を与えて、また調整し直しなんてことがままあるのです。特にブーストの帯域とカットの帯域が入り混じった設定ですと、レベル0の時と少々上げた時とでは、EQの利き方が変わります。

このChoco Cornet EQはその最終段の音量調整が2段になっていまして、VolとMasterがあり、VolでEQ全体の音量を、Masterで最終的な音量調整ができます。流石に同じ周波数を持つEQが他にあるとはいえ、最終音量調整が2段になっているものは、他に見当たりません。

これを簡単に説明しますと、各周波数のスライダーはそれぞれ±18dBとなっていますが、これをフルアップしたとして、まずVolでノミナル位置(12時と思われます)にすると、そのまま18dBを出力するのですが、Volを上げることで18dB以上の音量が稼げます。ここまでは他のEQとも同じです。

仮にVolを+5dB上げたとしましょう。合計23dBとなります。でもそれだと音がでかいけど、利き方はこっちの方がいいんだよな...という時、利き方を23dBのままで、音量を下げられるのがMasterです(実際はdBは対数ですのでこんな単純な足し/引き算ではないのですが、聴感上のイメージとして数字を出しましたので、ご了承ください)。

この2段構えのレベル調整では、特にボードにいくつかのエフェクターがある場合に効果を発揮します。音量を変えずに効果だけを追加することが可能なのです。EQにも様々な使い方がありますが、こうしたプリアンプ的な効果が可能になるということです。ブースターとしても音質補正を備えたブースターともなり得ますし、只者ならぬEQと見ました、この「ヤドカリ君」。

グライコはカット方向はまあ良しとしても、EQのバンドはとかく上げ気味になるので、ノイズとも戦う必要が出てきますが、最終音量をコントロールできるのならば、気持ち楽になると思います。

 

使い方の一例

まあEQですから、どこへ入れてもいいのですが、前述の文章の通り、自分的にはひずみと一緒に使います。しかもバッキングの方です。リードは抜け感が欲しいので、Over Driveで作っておき、バッキングに使うディストーションの方で同時に使います。

スイッチャーがあれば、ディストーションのループに一緒に入れて同時にかけっぱなしという感じです。これでロックなバッキング音はOKですし、歌ものであれば、このEQを切って少し厚みを落とします。これならバンドでも馴染みがいいのです。

歌ものでも歌謡曲のような感じであれば、少し上の帯域を上げるかな?男性と女性で1.6kHzを上下させて調整し、合わせて4kHzを上げる方向で抜け感を出します。ギターアンプのTrebleがほぼシェルビングなので、その中でちょっと山を作るくらいの感じです。

ギターでのグライコは1台あるととても便利です。もちろん、通常の6〜10バンドのものでも構いません。特に歪みなどで「もうちょい、ここ、なんとかならんかな...」というときに、役に立ってくれます。考え方によっては、へたったアンプの補正やいつもと違うアンプの補正とかにも使えます。

ギタリストならもっと積極的にEQを使いこなして、自分の音を確立したいものです。