ブリッジ

正確なチューニングが保てるFRTの弦交換-3/3

2013年 03月 04日 10:15 | カテゴリー: ブリッジ , その他
2013年 03月 04日 10:15
ブリッジ , その他

前回「正確なチューニングが保てるFRTの弦交換-2/3」からの続きで、記事の最後になります。

 

ヘッド側の弦の処理

17. 弦の頭をペグに通す

30peg_straight.jpg

まずは6弦から始めます。

まあ当たり前ですが、通しやすいようにペグの穴をボディ側へ向けるようにペグを回し、調整しておきます。

ここで全部のペグを回しておくと良いでしょう。
 

31pass_string.jpg

ペグを通してから、一度弦の巻き癖を取るのにしごきますので、まだストリングスリテイナーは通しません。

また、弦をしごく時、ブリッジでまだ弦を折らないでください。巻く方向から正確に曲げてやりたいので、ブリッジから伸びている弦を右手で押さえて、ヘッド方向に左手でクロスを持ってしごきます。これで、巻き癖とねじれが緩和します。「緩和」というのは、完全に巻き癖やねじれが完全になくなることはありません。でも、弦をしごいておくとねじれがある程度緩和され、チューニングは安定しやすくなります。
 

18. ストリングリテイナーに弦を引っかける

32string_retainer.jpg

6弦なので、リテイナーの固定ねじの外側ですから、ねじれを緩和させた後で、引っかけるようにして下を通します。

5~2弦は構造上、先にリテイナーを通してからペグを通す必要があります。


 

33string_float.jpg

引っかけてから弦を少しヘッド方向に引いていきます。

リテイナーをくぐらせることで、弦の進む方向が決まるので、ねじれもなくまっすぐにヘッド方向に引けます。


 

19. ペグに巻き付ける弦の量(長さ)を決める

これが、よくわからない人が多いんですね。俗に「巻き弦で2~3回ほど回す」といわれてますが、どこから始めれば2~3回なのかわからないですね。リペアパーツでペグの巻き数を計るスケール(定規)も発売されています。

34under_thumb.jpg

ですがここでは簡単に調整しましょう。

リテイナーをくぐらせてから、少々ヘッド側に弦を引っぱって弦を指板に近づけます。

次に右手の親指を弦の下に入れて、親指に引っかけるようにして弦を持ち上げます。

 

35pull_up.jpg

この時、12フレットのところで、中指が伸びきっている状態まで弦を引き上げます。

 

これがちょうど良い巻き数を出すための長さ(余裕分)です。

 

36string_hold.jpg

この高さを保てたら、左手でナット近くの弦を押さえます。

 


 

 

37string_bend.jpg

そこを押さえたまま、ペグから出ている弦を曲げてマーキングするようにします。

するとこれ以上は後ろ側(ボディ側)に弦が緩みませんので、巻きやすくなります。

 

 

弦をペグに巻く

38winding.jpg

ボディ側に弦を引くことができなくなるので、弦が緩まないようにすこし右手で弦を引っぱったまま、リワインダーで弦を巻いていきます。

リワンダーがなければ、普通に手でペグを回してください。


 

39roll_up.jpg

すると、どうでしょう。弦が張り詰めてきて、指板に密着するまで回すとちょうど2~3回分弦がペグに巻かれています。

ここの巻きでブリッジでもサドルからきれいに、ねじれがなく弦が折れ曲がっています。

巻く回数はブリッジが浮き出すか浮き出さないかくらいまで巻いておくのが目安です。

40cut_string.jpg

ペグより先に出ている弦は、次の弦を巻くのに邪魔なので、しっかりと巻けたらニッパーで弦を切り落とします。

この時、なるべくペグに近いところで切ります。

変に飛び出ていると手で引っかけてけがの元になるからです。
 

41tuning_before.jpg

この6弦同様に、他の弦も5、4、3弦...と張っていきます。5~2弦はリテイナーを通すところだけ注意します。

フローティングが完全な状態であれば、ラフにチューニングしてもブリッジが持ち上がってフラットな位置(ボディと並行)になってきます。

このギターでは前述のようにボディとフラットになるようにラフなチューニングを行います。

42bridge_parallel.jpg

この写真のようにブリッジのベースプレートとボディがほぼ並行になります。

弦を張り始めてここまでは、慣れると10~15分くらいでできます。


 

弦を伸ばす

まだラフですので、全弦張れたら弦を伸ばします。普通12フレットあたりの弦の真ん中あたりを引っぱって伸ばします。これは普段皆さんもやっていると思います。で、さらに1/4あたりの5フレットと24フレット(フロントPUあたり)も、同じように引っぱって伸ばします。まんべんなく伸ばせれば良いです。

つまんで引っぱるだけでなく、結構強力に伸ばします。弦を握るようにして親指で押しつけるように(指圧するような手つきで)容赦なく、伸ばします。まあ、弦が途中で折れない程度に注意してやりましょう。

もちろん、現段階でまだロックをしてないので、アームのアップ/ダウンもやって、音を聞きながら適度に伸ばしましょう。

 

弦をロックする

そこそこ伸びると弦も安定してきますから、ラフにチューニングしてバランスを確かめます。慣れれば癖が見えるのですが、このギターはロックすると微妙にチューニングが上がります。ロック後はご存じファインチューナーでのチューニングになりますので、「粗チューニング」の通りに、チューニングしてください。また、「FRTブリッジのセッティング」にあるように、ファインチューナーを3/4弦で半分くらいまでねじ込み、良く伸びる弦である1/6弦は上げ気味にしてから、ロックします。

43rock_nut_ng.jpg

なお、ロック時にありがちなミスはロックナットの取り付け方向です。写真のように3/4弦のロックナットは間違いです。しっかりとロックができなくなりますので、方向は間違いのないようにしてください。これ、意外とライブ前に弦交換をする人で慌ててこのようにつけてしまうのをよく見かけます。写真では6/5弦と2/1弦のロックナットが正しい向きです。

ロック後、チューニングが仕上がるまでは、少々時間を掛けましょう。といっても、セッティングがちゃんとできていれば慣れて5~8分、しっかりやって10~15分程度です。

最後に、チューニングが終了して、完璧チューニングができるとこんな感じに仕上がります。

コードはGです。チューニングのうねりがないことを確認してください。FRTでもここまで正確なチューニングができます。これ弦を張り終わったばっかりで録音しています。

 

補足

文中に出てくる「セッティングがちゃんとできていれば」というところが気になる方への補足です。一番キモとなるフローティングの調整は、ボディ裏のスプリングの張り方にあります。ですから、新品の弦を張り替えたばかりでは弦のテンションが安定しないので、すぐには調整できません。ある程度弦の伸びが収まってから調整してください。

目安としては、弦を張り替えて3日後くらい(最短で24時間は必要です)でしょうか、ある程度弾き込んでプレーン弦の色落ちする程度くらいが伸びきっていると言えると思います。一度チューニングを見直し(ロックを一度外して粗チューニングから、ファインチューナーを調整し、ロック後に微調整まで)合わせてから、ボディと並行になるようにスプリング調整をします。Floyd RoseのオフィシャルHPにも書いていますが、基本はストラト系でネックに角度が付いていない状態の時に「ボディと並行」です。「ネック角が付いていない」というのが、HPでは抜けています。とにかく「parallel」という単語(並行の意味)が散見されますので(僕も結構斜め読みしかしていませんが)、この点に注意してください。