ブリッジ

正確なチューニングが保てるFRTの弦交換-2/3

2013年 03月 03日 11:13 | カテゴリー: ブリッジ , その他
2013年 03月 03日 11:13
ブリッジ , その他

前回「正確なチューニングが保てるFRTの弦交換-1/3」からの続きです。

 

弦を張る準備

ギターがピカピカになったところで、普段弦を張っていてできないことをやりましょう。

  • ペグのナットに緩みがないか(コレ、意外と多いです)
  • デタッチャブルならネックの反りも確認(弦を張っているときに見ておく)
  • ピックガードのねじの緩み
  • 配線などでガリが出てたりするなら、ピックガードを開けてチェック

など、いろいろあります。

今回は、すべてクリアしているので、弦を張る準備をしましょう。
 

10. FRTブリッジを戻す

弦を張ってからスプリングを付けると苦労するので、先にスプリングをつけます。

このスプリングについて説明しましょう。フローティングにとって重要な部分です。先の記事で「Floyd Roseのフローティング完璧チューニング」から連続8回の連載記事がありましたが、ここで補足させてください。

完璧チューニングには、条件があります。それがこのスプリングにあります。簡単に言うと、弦のテンションと、スプリングのテンションが一致することで、ブリッジがボディと並行に保たれてチューニングが安定します。ですので弦のゲージが決まっていること、オクターブチューニングがあっていることも重要です。僕が使っているゲージは普通の0.009~0.042です。これがたとえば重たいロックやるからとヘビーボトム(0.009~0.046)とか0.010~を使うと、とたんにバランスが崩れてチューニングが合いにくくなります。オクターブは言わずもがなです。

できれば、いつも弦のメーカーも統一できれば良いです。ただ弦は消耗品なので僕の場合は良い弦を付けるときはライブでDean Marklay、普段はダダリオをつけています。変に安い弦やコーティング弦は使いません。コーティング弦を使うならそれに合わせた調整をすれば良いのでしょうけど、自分では使いません。ハーモニクスが出にくいとか、手が乾くのでFinger Ease使うと滑りすぎる(乾いた状態で思いっきりスライドするとやけどしそうなくらい熱い)とか、シングルPUだと音質変わるとか(メーカにも寄るんでしょうが)原因は様々あります。

話を戻して、スプリングには掛け方にバリエーションがあります。平行に3本とか、斜めがけ2本とか、フルに5本など、これはテンション調整が主な理由です。余談ですがFRTって0.009のゲージでバネ3本掛けを推奨しています。意外と誰も知りません。スプリングを引っかけるフック側を締め上げての斜め2本掛けはVan Halenなんかがそうですが、テンションは釣り合っているはずです。ですが実際これやると3本掛けよりアーミングが軽く感じます。また、強化スプリングをつけたこともありますが、硬い、硬い。テンションは釣り合っているのに結構力入れないとアームが落ちません。

14frt_spring.jpg

なので、結局写真のように斜めも入れた3本掛けに落ち着きました。チューニングが安定するフローティングはどの掛け方でも実現します。ただし、アームを動かしたときのテンションが違ってきます。ここは、好みで調整してください。

当然ながら、細い弦より太い巻き弦の方がテンションは強いですから、写真のように6弦側(写真の上側)を気持ち締め上げています。フックが斜めになっているのがわかると思います。このちょっとの傾き具合がミソで、うまくバランスが取れているわけです。この状態で、弦のテンション(上から)とバネのテンション(下から)のバランスが取れると、ブリッジのベースプレートが弦と平行になります。このストラトの場合は、ネック角は0度ですので、ボディとほぼ並行になります。

もちろんギターによって、このざぐりの大きさ(つまりフックのねじがどこまでねじ込めて締め上げられるか)とか、ネックの高さ(ネックが高いとブリッジが弦高と共に上がるので、ブリッジブロックとのスプリングの伸び方が変わる)など、諸条件でセッティングは変わります。スプリングのねじ1/8回しくらいでも変わります。自分が調整した10年より、プロショップの調整の方が小1時間くらいでできたのは驚きでした(原宿にある有名リペア専門ショップです)。しかも精度が高いです。もうオクターブなんかフレット交換以来、かれこれ10年以上はいじってませんもの。

15frt_bridge.jpg

さて、ブリッジを戻しますとこの状態。

きれいになりましたね。

 

 

弦の準備

16new_strings.jpg

弦を開封します。

ダダリオの弦はボールエンドの色で弦が区別できます。

1弦と2弦を間違って張ることがないようにしましょう。

 

11. ボールエンドの処理

You Tubeで閲覧したムービーとは違うところがここ。ボールエンドの処理です。まあ人それぞれなんですが、これは最初に言った弦の製造メーカー(イギリス人です)の人が言っていたことです。弦を頭からペグを通して張る方法よりはちゃんとボールエンドの処理をした方が良いというのです。本来巻き弦は芯線に対してボールエンド側から巻かれていきます。巻き弦は接着剤など使わず圧着です。ですから、ごく稀に巻き弦が緩むことがあるそうです。僕も過去に新品の弦で数回当たったことがあります。これは弦の頭の方で起こるのがほとんどだそうです。こうなると弦は使い物になりません。

なので、あとで巻いて弦を袋から出して伸ばすと癖が付いていることがあり弦をしごいてこれを緩和するのですが、弦の頭の方で先にロックしてしまうとこの緩みがわからなくなります。なので、緩みが潜伏している状態(しごいても今はまだ緩まず、肉眼でも確認できない状態)だと、極端にサステインが落ちたり、最悪弦を張ってから巻き弦がずるずる動くようになったりします。だから、先にブリッジでロックすると弦をつぶすので、この緩みが出やすくなるそうです。FRTではボールエンドの処理をして張るのが、一番良いとのことでした。
 

12. ペンチで弦を曲げる

18fold_position_edit.jpg

写真を見て、巻き弦の芯線の巻き終わりの位置がわかるでしょうか?

ここを避けて、内側(左手が触れる、弦の中心側というべきか)をラジオペンチで挟んで曲げてしまいます。

サドルに入る距離も考えて、芯線の巻き終わりがあるところから1~1.5 cm程度のところを曲げましょう。

19string_fold.jpg

ラジオペンチの太さもあるので、ある程度しか曲がりません。V字型になる程度まで曲げます。こちらがブリッジ側になります。

弦を曲げる効能は、ボールエンドを切り落としたあとで巻き線が緩むのを防ぐのと、ロックインサートで押さえ込む面積を広げてロックを安定させることが理由です。

 

13. ボールエンドを切り落とす

20string_cut.jpg

曲げたボールエンド側を切り落とします。

切る長さはサドルに入りきる長さです。

長くなるとサドルからはみ出るのでブリッジミュートするときに危ないです。

間違いなく流血します。

21cut_later.jpg

切り残った長さは、曲げた部分からたぶん5 mmあるかないかくらいです。

 

 

 

14. 広がっているのをさらに整形する

22string_crush.jpg

写真のようにうまくつぶしてください。

特に1~3弦のプレーン弦はやりにくいですが、ペンチの溝に引っかけるように溝をうまく使ってやるとやりやすいです。

 

 

23crush_ng.jpg

また、これはやりすぎです。

曲げすぎて弦が重なってはだめです。

ロックインサートを壊すもとになり、安定したロックができません。

 

24crush_ok.jpg

曲げるにはこのくらいが理想です。

弦が入るサドルの横幅の半分以下(ここが重要なポイント!)に納めなくてはなりません。

理由は次で!

 

15. 弦をサドルに入れる

25string_insert.jpg

弦が抜けたほどに隙間があれば、すぐに入ります。

入れるときのポイントはここで、底につける(弦を入れる)のは簡単ですが、うまく左右にこじりながら調整して、弦が入る溝の最下点(上方向から見るとセンター)に弦がくるように固定します。

 

26saddle_center_edit.jpg

ちょうど最下点にきたところでロックしないと、激しいアームを続けるとここから弦が切れます。

また、無理なテンションもかかります(ほんの微妙なくらいだと思いますが)ので、真ん中に納めてください。

 

27arm_down.jpg

左手でアームダウンしながらうまく弦を支えて、右手で軽くロングボルトを回して仮固定できればOKです。

 

 

 

16. 弦をロックする

28wrench_lock.jpg

仮固定されているところで、レンチで締めます。あまり力一杯回すとロックインサートが割れるので、軽く回していきながら、巻き弦はつぶれるとグニャとするので、そこからゆっくり止まるところまで回すと良いです。

細い弦になるほど、インフォメーションが手に伝わりにくくなるので、これを頭に入れながら止まる位置まで締めます。

止まってからさらに締め上げることのないようにしてください。

29bridge_lock_ok.jpg

固定できたら、こんな感じです。

 

 

続きます。