ブリッジ

正確なチューニングが保てるFRTの弦交換-1/3

2013年 03月 02日 19:34 | カテゴリー: ブリッジ , その他
2013年 03月 02日 19:34
ブリッジ , その他

このサイトでもトップランクのアクセスがあるFRT関連です。本当はビデオカメラでムービーにしたかったのですが、残念ながら持っていません(悲)。最近ネットを見ていると結構あるんですね、FRTの弦交換って。僕が実際にリペアーマンに教えてもらったのとずいぶん違うのも多いので、あえてこのタイミングでご紹介しようと思います。

バリエーションはいろいろとありますが、僕のやっている方法は幾人かのリペアーマンやプロのギターテクに共通していたこともあって、割と普通と思っていました。後に有名な弦の製造メーカーの方(外人です)にも、「この方法が一番チューニングが安定するんだ」ということを教えてもらっていたので、それも踏まえたハイブリッドです。長いこと、これでやっています。

ムービーが撮れない分、今回は大きい写真がたくさんあります。なので、ページも重たくなるので、複数回に分けます。画像はクリックすると拡大します。

 

弦を外す

いくらFRTが難しいとはいえ、外すのは問題ないでしょう。と思いきや、とあるムービーを見て疑問が...。なので、しっかりいきます。
 

1. ロックナットを外す

01frt_nut.jpg

基本中の基本ですが、オリジナルFRTはインチサイズのレンチです。六角ボルトの頭のねじを舐めることになるので、ちゃんとサイズのあったレンチを使いましょう。FRTライセンスものでは、国産はミリ、海外製はインチが多いです。ライセンス無しものは、ほとんどミリの場合が多いです。お手持ちのFRTを調べてみてください。

 

2. 弦を緩める

02rewinder.jpg

ペグを回して、弦を緩めます。この時写真のようなリワインダーがあると、作業が早いです。安いモノなら100円から売っています。1つは持っていても良いでしょう。

できれば、頭の大きめのものを探しましょう。レスポールのような3対3の場合、ペグの頭が大きいのです。ストラト系と両方に使えると便利です。
 

03bridge_sign.jpg

弦を緩めると、当然ブリッジはスプリングに引っぱられて落ちていきます。

この時、ブリッジに割り箸などを挟めて平行を保つなんて説明がたまにありますが、意味はないので別に挟まなくても良いです。意味がないことは、4.の弦を外すところで詳しく説明します。

 

3. 弦を切る

04string_cut.jpg

もうここはニッパーやラジオペンチなどを使って弦を切りましょう。弦を緩めてテンションがない状態(ベロベロに緩んだ状態)で切ってください。

でないと、弦が弾いて手に刺さったりする場合があります。

顔を近づけるのも厳禁です。

危ないことは避けましょう。

05cut_state.jpg

切るとこんな状態になります。

緩んでいても、ここまで弦がはじけます。

十分に注意してくださいね。


 

4. 弦を外す

ヘッド側の方は問題ないでしょう。ストリングスリテイナーから弦を抜いて、ペグに巻き付いているところを逆回しで紐解いていけば外れます。普通のストラトペグなら上に引っこ抜けばすぐに抜けます。写真のギターはShaller製でクルーソンタイプ同様に穴あきタイプですので、紐解きが必要です。

問題はブリッジ側です。2.で説明した割り箸を挟むところです。ここで割り箸を挟むと、その上にロングボルトが乗って回しにくくなります。うまくブリッジプレートが乗せられればよいのですが、これはネックの高さ(このストラトはネックとボディの間にスペーサーを挟んで全体の高さを上げてもこの程度です)にもよります。このギターの場合、フローティングの位置がちょうどボディに食い込む程度の高さなので、物を挟むとロングボルトが回せなくなります。レンチもボルトに入らないわけです。なので、別に挟む必要はないです。要は弦を外せればよいのですから。

06wrench_lotate.jpg

アームを左手で落としながら、レンチでボルトを緩めます。半周回れば後は手で緩められるので、ボルトを全部緩めてから弦が外れる程度まで手で緩めましょう。

手で緩めるときにあまりに緩めてしまうと、ロックインサートが落ちて無くすこともあるので、弦が引き抜ける程度(緩めると意外にすぐ抜けます)にしておいてください。
 

07strings_remove.jpg

その後は、アームを戻してブリッジの駒から弦を抜きます。

 

ここまでは、だいたい5~6分程度です。


 

ギターのクリーニング

弦が全部はずれたので、ギターのクリーニングをします。先ほどまでは、埃まみれのトレモロキャビティとか、お見苦しい点が多々ありました。ですので、お手入れとしてクリーニングを始めます。
 

5. ギターポリッシュで磨く

08polish.jpg

一応、ラッカー塗装なので、ラッカー対応のポリッシュを使用します。写真のポリッシュはGibson製です。これ、昔からあるもので、非常にラッカーに優しく、リペアショップなどでもヴィンテージギターを磨くにも使われています。実際滑らかですね。これか、たしかMartin製(アコギのマーチンです)も、ラッカー対応のポリッシュがあります。このどちらかを使っています。要は「研磨剤の入っていないやつ」というのがポイントです。

面倒なので直接ぶっかけますが、ヴィンテージ品ではそれはやりません。ちゃんとクロスにしみこませてから拭いて、さらに仕上げ用のから拭きクロスで磨くと完璧です。このギターはまだ塗装が傷んでいない(クラックなどはない)ので、まんま拭いちゃいます。
 

6. 指板も磨く

09cleaning.jpg

僕はギターを弾くときに指板が汚れているのは嫌いです。コンピューターのキーボードもそうですが、汚れていると嫌なんです。まあ目も詰まったエボニー指板なので、さっきのポリッシュを使って指で塗り込むようにこすります。

すると、指板に乗っていた油分が落ちます。ちゃんとクロスで拭き取ると、写真のように、指板に光沢がなくなります。僕は手が乾き症なのでFinger Ease(ギター弦潤滑剤という名前が付いています)をこよなく愛してますので、油分が汚れを吸うわけです。この光沢がない状態に全フレット分クロスで拭き取ります。
 

7. レモンオイルで保湿

10lemon_oil.jpg

お肌の荒れた状態と同じですので、レモンオイルで保湿します。これも、昔からあるやつでギター人生始めてからずっとこれです。「Taurus Army」というレモンオイルです。

レモンオイルもいろいろ種類があります。最近ではオレンジオイルなんて、マジックリンみたいな指板洗浄剤も出てきています。

 

11scrubing.jpg

これも付けて指で塗り込みます。ちなみにローズでもエボニーでも普通は着色されているので、買ったばかりの時は意外と色落ちします。

指板全体に塗り込めたら油分が余るので、こちらもクロスできれいに拭き上げます。

 

12oil_penetration2.jpg

このギターも作ってからかれこれ30年立っちゃったので、長年のメンテで色が落ち、木目が浮き出ています。なんか良い雰囲気が出ています。

 

 

 

8. フレットの掃除

13flet_blink.jpg

保湿後は、フレットをケアします。実はこのフレットの際(きわ)というのが、注意しなくてはならない部分です。フレットは完全なプロショップで打ってもらっているので隙間は生じませんが、つるしの安いモノやリフレットしたもので、稀に隙間ができることがあります。

つるしの安物と言っても、10万くらいのものでもあるから困ります。いわゆる機械打ちのもの(機械と言ってもオートのものではないです)です。手で指板全体に圧力を加えるプレス機で、力が足りない場合とか、手打ちの場合、指板のRに合わずにむらになったりする場合に隙間ができます。また、接着剤を使う場合に、長く使用して剥離してしまうとかが原因です。

この場合、オイルがしみこみやすく、指板が柔らかくなってしまうとフレットのがたつきとか、最悪は次のフレット交換時に一度木を埋めてから切り直すという手間がかかり金額が跳ね上がります。なので、フレットの際に残ったオイルはきちんと拭き取る必要があるわけです。

余談ですが、これがライブ前なら、さらに管楽器用の研磨剤入りポリッシュでフレットを磨き上げます。もうピカピカになります。ライブではキラキラしています。研磨剤入ったものは拭き上げが肝心です。なので、最初にフレットを磨いて、ポリッシュで指板を磨いてレモンオイルで保湿、最後にフレットの際のケアです。
 

9. その他パーツも磨く

埃だらけのFRTも掃除します。綿棒を使って細かいところまで磨きます。

上記の手順でクリーニングをするとおよそ10~15分程度です。

 

続きます。