その他

Bufferの重要性

2021年 06月 02日 23:22 | カテゴリー: その他
2021年 06月 02日 23:22
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このところYouTubeで見てるのはエフェクターのサイトばかりなのです。その中で「Vertex」社の「The Rig Doctor」というチャンネルがあります。

Vertexは皆さんご存知かと思います。かのロベンフォード氏やマイケルランドウ氏などのエフェクターボードを構築し、最近ではオリジナルのエフェクターなんかも販売しています。そのVertexの方がエフェクターボードをDIYする方のために、ヒントや注意などをまとめた動画を出しているのが「The Rig Doctor」です。

プロの現場で培われたノウハウが余す所なく取り上げられており、非常に面白いです。スマホやPadでのYouTubeアプリでは出ないのですが、PCのブラウザ上であればGoogleの自動翻訳もあり、訳はイマイチなところもありますが、話の大筋は掴めます。

そんな中で、気になるものを見つけました。

Bufferに関することです。Bufferについての動画はこのRIG Doctorの中でも何本もあります。どの動画でも共通して言っていることは

  • 高品質なバッファを使うこと。
  • 単体のバッファが良い
  • InだけでなくOut側にもある方が良い

などなど...

また信号ロスの話も語られまして、ボリュームペダルから出せるチューナーアウトは信号ロスの元とか、電子スイッチ付きのエフェクター(いわゆる内臓バッファ)は当てにするなとか、それぞれがちゃんと理由もつけて語られています。

元々は、In/Out用のインターフェースを探していて、DIYのためのパッシブインターフェースの作り方を見つけたところから始まります。前から、できればこのインターフェースにバッファを組み込みたいとは思っていたのですが、高品質と呼ばれるバッファをどのくらいのレベルならそうなるのかは全くわからないので、結局パッシブにしてしまいました。とは言いつつ、グラウンドの引き回し(1箇所間違っていたのを修正)やシールド線へのアップグレード(前は単線)、しかもこのサイトではよく出てくるPC Triple Cのオーディオ品質のシールド線に統一(前はベルデン)し、アップグレードは果たしました。これで完璧です。

 

どのくらい信号劣化するのだろうか?

とは言っても、バッファは気になるところで、ちょっと前までは、基本的に電子スイッチ付きのエフェクターであれば、バッファが内蔵されているから、少々ケーブルが長くても平気だよ、なんて思ったことありませんか?BossとかMaxonのエフェクターが1個入っていればいいんだよ、なんて思っていませんでしたか?かくゆう私がそうでした。

いや、確かに少しはマシですが、このRIG DoctorでもWampler Pedalの動画でも取り上げられているサイトがあります。向こうではかなり有名なサイトらしいです。

「AMZーFX」というサイトなのですが、その中のこのページ

True Bypass Measurements (別ウィンドウで開きます)

で、True BypassとBaffered Bypassについて書かれています。

ここでは「True Bypassは信号のロスがなくて有利なんだよ」的にまとめられているのですが、ページ内の図だけ見てもわかります。

  1. 一番上の図はループバック(つまりエフェクターを何も繋いでいない状態)での信号レベルを示しています。横一直線に青い線が−20dBuというレベルを指しています。
  2. 二番目の図がTrue Bypassのエフェクターを4台直列に繋いだ時の信号レベルです。よく見ると20kHz(一番右)のところで気持ち落ちています。0.1dBほど落ちていると書いていますが、基本的には全帯域でロスなくストレートに信号が出ています。
  3. 三番目の図が問題で、4台のBossエフェクターを直列に繋ぐと、
    ・100Hzより下がバッサリと削られています。
    ・全体のレベルが−2.5dBほど下がっています。
    ・10kHzより上がなだらかに落ちています。
  4. 四番目は二番目と三番目の比較のために重ねてみた図のアップです。

このページの概要的には以上のようにまとめられていますが、Wamplerの動画では実際にBossペダルを10台くらい並べて音出ししています(下にそのムービーを貼ってあります)。

聞くとびっくりで、「え?そんなに落ちてるの?」というくらい音量も音質も変わっています。言ってみれば、Bossエフェクターの音痩せ問題はここにあるような気がします。

じゃあTrue Bypassの方がいいのか?というとそうでもなく、ここはRig Doctorに釘を刺されていますが、10台もつなげばいくらTrue Bypassでも、シールド線でもない内部の細い単線が数珠繋ぎになるので、ノイズの点でも、音質劣化の意味でも不利だと言っています。

 

必要なバッファの値

結論から言うとRig Doctor曰く、インプット=1MΩ、アウトプット=100Ωと言うところだそうです。

さらに音質が変わらない高品位であることが条件です。

お勧めされているのは

  • TC Electronic BONAFIDE Buffer
  • MESA Boogie  HighーWire(これはアウトが150Ωですが、InとOutにバッファが入っており、ジャンクションボックスとしても使える一押し的バッファでした)その他、Mesaにはインプット、センド、リターンそれぞれ用のバッファがあります。
  • その他はTrueToneのPure Tone Buffer(インピーダンス値不明)、SuhrのBuffer(In=1MΩ、Out=150Ω、Mesaと同じです)とか、です。

Outに関しては、100〜150Ωというローインピーダンスが多いです。

私同様に電子スイッチ付きのエフェクターで気にしていなかった人は、この数字を見てください。BossではInput側が1MΩ、Outが1kΩというのがほとんどです。Maxon(Ibanez)では種類で違うようですが、ほとんどがInput=500kΩ、Output=10kΩのようです。上記と比べると確かにローインピーダンスではありますが、「高品位」というにはまだ高いようです。

もちろん、これは基盤を安定動作させるためのバッファ(フリップフロップ回路と言ってた)ですから、信号の劣化を抑えるためのバッファではありませんので、いわゆる「Bossなどのバッファは質が悪い」と言われるのはこのためです。

でもちゃんと言っておくと、あくまでも内部処理をするためのバッファで、効果を得るためにはことが足りているので決して悪いバッファではないのです。また、回路によってはバッファが3個以上入っている場合もあるそうで、そうしたバッファが悪さをしてレベルを落としたり、変に周波数を削ったりとかあるので、ちゃんとした信号劣化防止用のバッファが必要なのではないでしょうか?

 

自分がなぜよくわかっていなかったのか?

すごく恥ずかしい話なのですが、私自身、とりあえず電子スイッチ付きエフェクターがバッファ代わりになると信じていたのですが、なんで今の今まで気がつかなかったのか、理由が判明しました。

自分はほぼ全てのエフェクターが電子スイッチもので、ボリュームペダルすらアクティブです。確かにBossの音痩せ問題は付き纏うのですが、気になったことがありません。確かに痩せているのはわかるのですが、最終出口であるアンプで太い音作っていることが気が付かない要因の一つであります。これはまだ要因の一部でしかありません。

ことエフェクターに絞ってお話しすると、エフェクターの最終段にBossのLS-2を入れています。まあ音痩せ問題では槍玉に上がる機種です。だからいつもライブでは色々な方から「LS−2って音痩せしませんか?」と不思議そうに聞かれていましたが、聞いての通りですとしか答えれませんでした。

で、問題は「LS−2が最終段にあり、常にオンの状態」であることが、解決となることの大半を占める要因ではないかと思うわけです。

使い方としては、レベルセレクターとでも言いましょうか、 Bypassモードは経由せずに(つまり回路は常にオンの状態を維持)、A/Bモードのセレクトを選び、レベルを調整しているだけです。つまりループは一切使うことなく、何も接続せずにA/Bモードを切り替えているだけです。レベルはバッキング用(A)とソロ用(B)の適正レベル(つまりソロ用は大きいレベルである)にしています。

これはBossに直接問い合わせてみたのですが、LS−2のレベルはA/Bどちらもセンター(12時)がノミナル(入力と出力のレベルが同じ)で、右方向(時計回り)に回すと最大+20dBのブーストになるそうです。

そして自分のセッティングといえば、バッキング用のAはおよそ11時(ノミナルより若干下げ方向)、ソロはおよそ1〜2時(つまりブースト)です。どちらにしても Bypassは使わないので最終段にブースターを常時オンにしているのと変わりません。ということは、強い信号が出せるバッファ的な役割をしていたということになります。

Rig Doctorでは、ボードのIn側とOut側の両方にバッファが必要とお勧めしています。イン側にバッファを入れるのはわかるのですが、アウト側は盲点でした。言わずもがなですが、考えてみればボードからアンプって結構な長いシールド使うので、当たり前と言えば当たり前です。そしてBoosterをバッファがわりにと、エフェクトの先頭に置くことは皆さんご存知のはずです。つまり信号を強くしてやればノイズに強く、劣化が少ないということです。

これを自分では、ボードのイン側先頭はとりあえず内蔵バッファ(CompはBossではなくVisual Sound=現TrueToneのComp66です。Bossよりは良いはず!と思ってた)で補い、アウト側は知らずうちにLS−2をブースター代わりにしていた、というのが事の真相で、実は両端バッファを組んでいたことになります。

それでもBossならではの痩せ感は拭えないのですが、音痩せしているなんてのはもちろん、音が細いとか劣化しているなんて言われたことがないですし、その逆(音が太いとか厚いとか)が多いです。いつも言っているように最終的には音の出口であるアンプで音は決まるものです。

 

最終的にどう捉えるか

前述のAMZーFXサイトの三番目の図(Bossエフェクターを4つ繋いだ図)では、ループバックに比べて、確かに50Hz以下は極端に削られ、10kHz以上もややなだらかに削れており、出力も−2.5dB下がっています。

Wampler Pedalの動画では

このAMZーFXサイトの解説もしていますが、動画の前の方では実際にBossペダルを約10台ほど繋いで音質比較をしています。

これを見る/聞くと内蔵バッファって結構酷く感じるのですが、よくよくグラフを見ると大体のアンプスピーカー(12インチもの)の再生帯域である80〜10kHzまではおよそフラットなんです。

逆な言い方をすれば、このエフェクター軍の一番後ろでブースターを常時オンにして約+3dB分の音量を稼げば、フラットな、ほぼ欠損のない信号がアンプから出るはずです。なのでブースターがバッファ代わりにできるということもうなづけます。

こうして考えてみると、まあトゥルーバイパスだけで10台直結となると単線を数珠繋ぎすることになるのでハイ落ちは免れないでしょうが、意外と内蔵バッファを持つエフェクター同士なら一応のローインピーダンスになるので、最終段でのレベルさえ+3dB稼いでおけば、いける気がしています。+3dBって意外と音量が上がります。

トゥルーバイパスものも、ループ数の多いスイッチャーを使えば、必然的にバッファが噛んでくるので、気にしていない方も多いのではないでしょうか?(ループ数が少ないスイッチャーならトゥルーバイパスのやつもあります)

いずれにせよ、直結する方や台数の多い方は、信号劣化を気にしてバッファの導入を考えても良いかと思います。特にダイナミクス系でギターのボリューム操作の多い方やトランスペアレント〜クランチでエフェクターのセッティングをする方には、原音が重要になりますので高品質なバッファがIn/Outの両側にあると、まさにプロのリグ(エフェクターボードのこと)になると思います。

 

組む時の重要事項は前述の「The Rig Doctor」でいくつかの動画が上がっているので一度ご覧いただくことをお勧めします。