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安定化電源(パワーサプライ)の落とし穴

2021年 02月 07日 21:56 | カテゴリー: その他
2021年 02月 07日 21:56
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エフェクターも数が増えると考えたいのが電源ですね。個別にACアダプターが4個も5個も並ぶと結構邪魔にもなるし、重さも嵩張ります。

そこで登場するのが、一つの個体から幾本かの出力があり、複数台のエフェクターに安定した電力を送る安定化電源(パワーサプライ)となります。

これまた最近は中華製の安いものから上はACまで対応した数万円のものまであるのですが、どれを選んだら良いのか、判断に困るものです。

ここではそれぞれの特長を見て、決めたところでセッティングのミスのないようにしてトラブルを防ぎましょうというお題目です。

 

個々のエフェクターの消費電力

ボードに組み込む使用エフェクターの消費電力を、まずは調べてください。スペック表などを見て「〇〇mA」という表記されている部分です。

例えばディストーションなどの歪み系は割と消費電力は小さいもので数mAから数十mA(まあ行っても30mAくらいとか?)なものですが、一部のデジタルもの(特にマルチなど)やディレイ、リバーブといった空間系は500mA以上なんてものも存在します。

これらを把握した上で、安定化電源を見てみますと一つの口が最大9V/100mAとか18V/500mAとか書いています。出力の数は当然つなげるエフェクターの数によりますが、これに収まるようにしなくてはなりません。これくらいは至極当たり前でご理解している方がほとんどです。

しかし、もう一つ確認しなくてはならないことがあります。

それはその安定化電源に付属のACアダプター(多分ほとんどが付属していると思います)の出力です。

例えば出力の各最大電流量が9V/100mAが6つ、9V/500mAが1つ、18V/500mAが1つの合計8つ出力を持った安定化電源の場合に、付属のACアダプターの出力が1000mAしかない場合、全ての出力が最大で使えるわけではありません。この場合最大値の合計は600+500+500=1600mAとなり、付属のACでは電流量が足りずに誤動作やノイズの発生などといった現象が起きます。例え18Vの端子を使わなくとも1100mAと、これでもオーバーしています。

これはあくまでも最大値であったが場合の話ですが、今度はご自身の使用エフェクターの最大電流の合計値は幾つでしたか?つまりこれが付属のACアダプターの許容量を超えなければ良いことになります。決して安定化電源の出力端子の表記だけを鵜呑みにしてはいけません。

特に安い中華製では本体の最大出力の合計値になるACアダプターを付属しているものはほとんどと言ってありません。ほとんどの場合、およそ半分くらいの電流量であることが多いです。ただディストーションなどのように消費電力の少ないものから振り分けられていくので、コスト的に電流量は抑えられたものが付属のACアダプターとなります。だから場合によっては全ての出力が使えないこともあり得るのです。

 

アイソレート電源が必要かどうか

アイソレート電源とはパワーサプライ本体についている出力端子がそれぞれ個別に電池を繋いだかのように、電源供給が個別に独立しているものを言います。大体、著名なメーカー製で約10000円前後くらいからが目安です。まあひとランク上の価格帯です。

フルアイソレートされたパワーサプライでは、アナログ機器とデジタル機器の混在が可能です。ですので実質全ての端子が使えることがほとんどです。もちろん各出力の最大電流値以内での話です。しかも付属のACアダプターも大容量(例えば2000mAとか)ですので、ほぼ全ての端子の電流量を賄えます。また、一つの端子からの出力が割と高い(例えば300mAとか)ことも挙げられます。

ところが大体5000円前後以下のパワーサプライではアイソレートはされておりません。特に中華製の安いやつとかがそうです。ですので、例え出力が8端子付いていても前述の消費電流量が付属のACアダプターの電流量を超えると全ての端子が使えるわけではないですし、先程のアナログ機器とデジタル機器の混在でもノイズの混入が起きたりと、トラブルの元になります。

あとは日本語表記の問題でフルアイソレートを「完全独立動作」と訳すことが大半ですが、Amazonなどにある中華製品の中には「独立動作」と歌っているものがあります(「完全」という言葉が抜けている)。注意したいのは、ただアイソレートアウトとだけ書いている場合ではグラウンドのラインが共用であること、つまり、フルアイソレートではない場合がままあります。

詳細を見て、フル・アイソレート・アウト(完全独立型電源出力)とあれば、大体はフルアイソレートですが、中にはアイソレート・グラウンド(独立型グラウンド)と各端子のアースまでもが独立型ですよとわざわざ歌っている製品もあります。両方書いてあると大体はフルアイソレートのようです(価格も1万円くらいから)。つまり、ノイズを回り込ませないようにアイソレート・グラウンドであることが、それぞれの端子が完全に独立していると言うことです。

ややこしいのは、アイソレート・アウトとアイソレート・ショート・サーキットと2項目書いているやつで、一見してフルアイソレートのように見えますが、前者は独立動作する電源、後者は電源が何かの拍子にショートした場合など、各出口が「独立動作」してシャットアウトするため、他の出口につないだエフェクターには損傷を与えません、と言うものですのでフルアイソレートとは違う意味です。

中華製でもDONNER製品にはこの表記が多いです(https://www.donnerdeal.com/collections/power-supply)。

Moskyなんかは本家サイト(https://www.moskyaudio.com/Pedal-Power-Supply.html)にいきますと、各種パワーサプライごとに詳細が書かれています。

ご存知かと思いますが、Amazonなんかでは適当な日本語訳で曖昧な内容なのでちゃんとメーカーの本家サイトくらいではチェックしておきたいものです。

 

予算的に安いアイソレートされていないパワーサプライを選ぶ時

各出力端子の消費電流量は言うまでもないのですが、もう一つ注意点として、ACアダプターの入力端子に近いところから徐々に電力は消費されていきます。つまり安定化電源としてパラってはありますが、厳密には基板上で入力に近い端子から電力は消費されていきます。簡単にいうと分岐ケーブル(1本で5個くらい繋げるケーブル)とあまり大差はありません。

これは手持ちのエフェクターを繋ぐ順番に影響します。ですから手前側(つまり電源入力に近い端子)にディレイなどの高消費電流量を持つエフェクターを繋ぐと、後段側(6端子あるなら6個目など)に電流が届きにくくなり、稀に誤動作やノイズの原因にもなります。

また、先に書いたようにアナログ機器とデジタル機器の混在もノイズの原因となります。もちろんノイズの発生源はデジタル機器であることが多いため、デジタル機器を外すとノイズが止まるという現象があったりします。その他、電源ケーブルと音声ケーブルの配線位置によるグラウンドループや擬似的なアンテナ現象によるノイズもあったりします。

特にスイッチャーなんかを使用するとグラウンドループなどのトラブルも引き起こしやすくなります。ビンテージ機器に電池アダプターを使って変換している場合も誤動作を起こしがちです。

出来る限り、アナログとデジタル、またはビンテージ機器などはパワーサプライも分けてやることをお勧めします。

 

種類で言うなら

ざっくりですが、アナログであるブースターや歪み系などは割と消費電流は少ない方で、普通は5〜10mAくらい?で、多くても20〜30mAでしょう。プリアンプ系は少々食うものが多いかも知れません。真空管式は専用のものを使ったほうがいいです。

コンプも割と少ないほうですが、昨今のスタジオ系コンプなどは高いものもあります。

モジュレーション系は物によって結構ピンキリで、少ないものもあれば多いものあり、取説を確認したほうが良いでしょう。

ディレイやリバーブなどの残響系は消費電流量は多いです。これはアナログであってもデジタルであっても高めです。

コンパクトマルチ(例えばZoomなど)はデジタルな上、結構消費電流は高めです。これを使うならパワーサプライとしてはフルアイソレートされた物を使ってください。本当ならば専用に個別のACアダプター使っても良いくらいです。

スイッチャーも消費電力量が高いものが多いはずです。スイッチャーから電源供給出来る物がありますが、これの使用はあまりお勧めできません。アイソレートされていない場合が多く、グラウンドループの元になりかねません。例え小さなスイッチャーでも、出来る限り、スイッチャーには専用の単独ACアダプターがのぞましいです。グラウンドループに陥りやすく、ノイズの特定がしにくくなるからです。

いずれにせよ、使用しているエフェクターの消費電力量くらいは確認しておく事が大事です。

 

ボードに組み込むときの注意

パワーサプライは配置的にボードの端やスノコの裏などがほとんどでしょう。オーディオ信号線と違ってタコの足のように放射状になることも多く、どうしてもオーディオ信号線と並びがちです。

ここで注意したいのは、なるべく信号線と並ばないようにすることです。電源ラインは信号線にとってノイズの発生源となります。ですからなるべく並行しないようにする、どうしても接触せざるを得ない場合には、十字に交差するようにするなどして接点を大きく取らないようにすることが大事です。

出来るだけ電源ラインと信号ラインは分けて置けることが理想ではありますが、狭いボードの中ではそうも言ってられません。電源ラインは広くとってしまうとグラウンドループにも陥りやすく、ノイズ発生の特定も難しくなります。

スノコボードで信号ラインを表、電源ラインを裏に引いたとしても、並行させないようにするほうが得策です。

もう一つ、パワーサプライに付属のDCケーブルを使っている分には問題ありませんが、信号ライン同様にDCケーブルも統一した方が良いです。結局電線自体は抵抗になりますので、一本だけ高級品で電流に流れが良かったり、その逆で足りなくなって別な安いケーブルを使って付属のケーブルより流れにくかったりなど、目に見えない負荷を作ることがノイズの発生にも繋がりかねません。安定化電源を不安定にはしたくないですよね?

電源に関するノイズは目に見える物ではないので、どんなトラブルが生じるかはわかりません。自宅では問題なかったのに、ライブハウスではノイズが収まらないなど、環境でも影響の出る場合があります。組む時点から最注意して配線したいですね。