
歪みの質感が変わるブースターのうまい選び方 後編
歪み系 , 組み合わせ
歪みの質感が変わるブースターのうまい選び方 前編からの続きです。
前回は経験談(レビュー)を含めていろいろなブースターをご紹介しましたが、それ以外にも信号をブーストする方法はあります。
歪みエフェクターによるブースト
昔からアンプをプッシュする目的で歪みエフェクターをブースター変わりに...と言うセッティングがあります。これのポイントは、割と歪みが軽い歪みエフェクターのDriveを下げOutputを上げて出力を稼ぐというところ。別に歪みが軽くなくても歪みを絞るのでどんな歪みエフェクターでもできることですが、あえて「歪みが軽い」と言ったのは、その歪みが強いことで変な癖(トーン的に)をつけないで出力(音量)だけを上げた方が、そのアンプの特性を活かせるからです。
で、最近は(と言っても、これも昔からやってますが)歪みエフェクターの前に置いてブーストするというやり方です。実際この2段掛けは効果あります。ただし設定次第でノイズがむごいことになったりします。
ここでは、「ブースト」、「ブースター」と言う言葉と、「2段掛け」と言う言葉を区別しています。これを念頭に置いて読んでみてください。
よく見るセッティングに、このノイズを抑えるためでしょうか、意外とOutputが下がっている方がいます。つまりブーストされないブースター(ただの2段掛け)と言う残念な場合ですね。
まあ、元が歪みエフェクターですからドライブゲインを上げるほどOutputは下げられます。そのOutputが下がった状態でドライブを下げるといったところでしょうか?結局思ったほどの歪みが得られなくてドライブを上げ始めてくるとまたノイズが...と悩み始めます。ですから最初に「歪みの軽いもの」と言ったのはここにも理由があります。たとえば、Boss SD-1、Ibanez Tube Screamer、Klon Centaur(各種クローンも含む)などが代表的なところでしょうか?
ブースターセッティングにするにはあくまでも出力を上げなくてはならないので、Unity Gain(±0dB)がどの位置なのかを知る必要があります。しかし歪みエフェクターでこれを公開しているメーカーは(たぶん)1つもありません。
まあ、Driveゲイン次第で変わるからなんですけど、これを知る簡単な方法は、
- ドライブゲインを先に決める。
- とりあえずOutputレベルを任意の位置にして、OnとOffを繰り返しながら、音量差がないところを探ります。
- 仮にOutputが12時の位置で決まったならば、ドライブゲインをそのままにして、Outputレベルを12時以上に上げる。
- 後段の歪みエフェクターをOnにして、歪み具合を見ながら、再度ブースター側のOutputレベルを決める。
です。
4.でコンビネーション具合を見ながら、もう少し歪みの味が欲しくてブースター側のドライブを上げたなら再度1.~3.を繰り返します。
今手元にないのですっごいうろ覚えなんですがBoss SD-1の場合ですと、確かドライブを9時くらいにしたところでOutputレベルは1時前後がUnity Gainになると思いました(感覚で覚えたものですので間違っていたらごめんなさい)。ですからOutputレベルをそれ以上に上げないとブースターとしての効果がない、というのも語弊がありますが、決して後段の歪みをブーストして歪みを増しているわけではなく、2段掛けですから確実にトーンが変わることで、それっぽく聞こえてしまうだけの話です。
ちゃんとブースターとして使うと、後段の歪みエフェクターが強調されて厚みが増したり、伸びる音質がちゃんと後段のものだったり(これが聞き分けられない事が多くブーストしないセッティングが見受けられる原因です)、歪みがきめ細やかになったりします。
まあ、もちろん2段掛けの状態でもトーンが好みと言うこともあるでしょうし、だめと言うことはありません。ただ十分に対処しないとトラブルに見舞われます。
歪みエフェクターの2段掛けによる功罪
まずは「功罪」の「功(績)」の方は、ただのブースターよりトーンバリエーションが豊かになります。おおよそミッドが格段に上がってきます。
で、「功罪」の「罪(過)」は、音が細くなる、ハウり易くなる、ノイズが上がるなどなど..。ハイパワーPUだと弾いていなくてもギターのボリュームを上げるだけで「ピー」とか鳴ったりします。
この功罪は主に2段掛けのセッティング時に起こります。もちろんブースターセッティングでも起こらないわけではないですが、不思議と確率が低いんですね。先にも触れましたが、ブースターセッティングの方がより後段の歪みを生かす事ができます。
考えてみれば至極簡単で、ブーストの場合(たとえばLevel=10(max)、Drive=0(min)の状態)は、歪みがなく原音を保ってレベルだけ上がっている状態で後段の歪みに入り、そこで歪みが起こります。これが2段掛けとなると前段(仮にLevel、Driveともに12時の状態として)で、原音が保たれていない歪んだ(ゆがんだ)状態で後段に入り、そこでもさらに歪められる(ゆがめられる)ので、原音からかけ離れた信号となり、倍音も増えてノイズも倍増される、つまり原音からかけ離れた信号というのは原音にはなかった音が増えてしまうことで弊害が起きるわけです。
そして確かに、前段がクリーンブースターだったらハウり易さも、ノイズも抑えられるようです。ですから最初に言ったとおり「歪みが軽い」方がよりブースターに向いていると言うことです。
なので相性を見極めなくてはなりません。
相性を見極めるために
結論から言うと「やってみる」しかありません。これが最短、最速の方法でしょう。さらに人それぞれ好みもあるでしょうし、一概に決められるものでもありません。
ただ、前編でご紹介したように今は様々なブースターが出ていますので、歪みに何らかの味を付け足すならブースターを選んだ方が間違いないでしょう。そして歪みの2段掛けにはなるべくゲインを上げないことで、ノイズなどの回避ができます。
自分が相性を見る上で良くやる方法は、
- 後段に使う歪みのゲインを通常のセッティングより2時間くらい減らす(たとえばゲインが3時であれば1時くらいまで落とす)。
- 前段のブースターを適宜セッティングした上でONにして、後段の歪みが前と変わらないくらいまで調整してみる(先の例では3時の音が出るかどうか)
- 後段の元音(3時の音)が出るように前段のブースターを調整する
- 2.~3.を繰り返し、セッティングを詰める
という感じです。
この調整中に歪みのトーンが変わったり、ノイズが増えるようであれば(たぶん)自分的に気持ち悪いはずなので、ブースター自体を変更します。トーンが変わらず(または狙った方向が再現できたらOK)、サステインも十分で、ノイズもむごいことにならなければOKです。
楽器屋さんの試奏でも自分のお気に入りの歪みを持っていって試した方が間違いないと思います。