歪み系

歪みの質感が変わるブースターのうまい選び方 前編

2019年 04月 21日 23:09 | カテゴリー: 歪み系 , 組み合わせ
2019年 04月 21日 23:09
歪み系 , 組み合わせ

RANGEMASTER.jpg

ブースターは、信号をブーストして後段の、たとえばアンプや歪みエフェクターのゲインなどをプッシュするエフェクターというのは誰もが知るところです。古くはトレブルブースターであるRange MasterやElectro Harmonics LBP-1などがあります。

そして、少々時間が経ってオーバードライブ的なエフェクターをブースター変わりにするなんてこともあります。有名どころでは、アンプに対してBoss OD-1やTube Screamerなどのドライブゲインを絞ってボリューム(レベル)をガンと上げるブースター的使い方は皆さんもよく知るところでしょう。

昨今ではそうしたブースター的使い方が注目され、様々なブースターが生み出されています。それに伴い使い方も千差万別。「第2の歪み」とも言うべきブースターの使いどころと主な特長を述べていきます。

 

選ぶブースターで歪みの質感は変わります

たとえば、歪みエフェクターをプッシュするために前段にブースターを置く場合、選ぶブースターの系統によって音質は変わります。ただ「ゲインを上げてプッシュして後段の歪み量を上げる」だけがブースターではないのです。中には同じブースト量なのに歪みだけが増すものや歪みとともに音量も上がってしまうもの、歪みが柔らかくなるように感じるものや逆にハイ上がりになるもの、歪みが荒々しくなったり逆にクリーミーになったりと、ざっと上げても軽くこのくらいは出てきます。

基本的な事を改めておきますと、歪みは歪ませるほどレンジ幅は狭くなります。つまり中域に寄る形でハイもローも削れていきます。ただしハイ側は倍音が出てくるので聴感上は少しハイが出て聞こえます。どのくらい寄るかはそれぞれの個性ですのでなんとも言えませんが、オーバードライブはディストーションよりもその傾向が強いです。

ブースターを前段に置く場合、どんなブースターでも共通して言えるのはコンプレッションが強くなります。これは元々の歪み(後段の歪みエフェクター)が内部で原音に対してある一定のレベル以上にゲインを上げることで歪みを得ているところに、さらに(前段のブースターで)原音をブーストするわけですからもっと歪みが強まり音がつぶれるわけです。これがサステインの伸びる理由でもあります。逆に短所としてはノイズも一緒に上がってしまうことです。

ですが、これをクランチセッティングのアンプでやると動作的には同じですが、特に真空管アンプの場合はヘッドルームの大きさの違いで、アンプがブースト信号をフルに受け止めてしまいますので、レンジが広いまま(と言っても少々狭まりながら)味のあるリードトーンができあがります。エフェクター同士の場合は、リードトーンはできあがってもレンジ幅が狭いので、「味が出せる」と言う領域には至りません。どうしても平坦なリードトーンになってしまいます。

だからブースターを選ぶにも、自分の好みに合う、自分の好きな歪みと相性の良いブースターを選ぶことが必要です。

 

ブースターの種類と特長

歪みエフェクターと同様に様々な種類のブースターがあります。個人的主観ではありますがいくつかに大別できるので、僕自身が試した実機(以下に出てくる製品はすべて試奏済み、または一部保有)を交えて見てみましょう。

 

1.クリーンブースター

mxr_microamp.jpg

名前通り、純粋に音量だけをブーストするブースターです。これは大体のものがフルレンジで原音をブーストします。ですが単体では歪みは増加しません(Gainがなく1ノブで音量調整するものが多い)。ですからたとえば中域が強く出るオーバードライブの前にこれを突っ込むと特に低域がブーミーになりがちで高域がやや細くなる傾向にあり、同時に中域がガンと上がります。

そのほとんどが+16~20dB、行っても+30dB位のブースト量です。ブースト量を上げるほどに歪みますが低域のブーミーさは顕著に出ます。+16dB程度なら歪みが増えたな?位の感じでしょうか?

クリーンですからどちらかと言えば歪みエフェクターの後段においてソロ時の音量アップに使う方が適しているかもしれません。太さや繊細さを保ちつつ音量を上げられます。

MXR Micro AmpやOne Control Granith Grey Boosterなどがあります。あと、僕の使い方ではBoss LS-2もブースター的な使い方(エフェクト最終段にレベル調整のため=マスターボリューム的に使用)をしています。

 

2.轟音系ブースター

先ほどブースターの平均的ブーストは+16~30dBほどと言いましたが、これを凌駕するブースターです。知っている限りでは+50~60dBですから、およそ倍の利得(パワーでいうとなんと1000倍ほど)を出力します。ゲインを上げるだけでオーバードライブ並みに歪みます。

これに該当するのが、Way Huge Angry Troll(+50dB)、Loud&Proud The Crunge Box(たしか+60dB)ですね。

loudproud_crunge_box.jpg

後者のCrunge Box、これがまたすごくて、以前Tokyo Effector Black Swan(Buzz AroundにインスパイアされたFuzz/Distortion。Buzz Around自体サステインが長く、King Crimsonのロバート・フリップ氏が愛用していたFuzz)に突っ込んだことがあります。Black Swan自体のサステインもすごいのですが、前段にCrunge Boxを入れるともう異次元のサステインで、フィードバックなのか実音のサステインなのかわからなくなるくらいのとっても長いサステインを得られてびっくりしました。とあるショウで試奏していたときに50人以上の観客に囲まれたことがあります。

このCrunge Boxは「真空管アンプをフルアップして真空管が目一杯チリチリしてうなり始める直前の音」を模したらしく、単品で鳴らしたときでもその粗い歪みに魅力を感じましたが、さすがに使いどころを選ぶブースターと思いました。

 

3.EQ効果系ブースター

たぶん今一番HotなジャンルのEQ効果系ブースターです。簡単に言うとトレブルブースターとかミッドブースターと言われる、トーンに癖をつけるブースターです。フルレンジブースターというのもありますが、クリーンブースターとの違いはゲインがついており、弱いながらも歪ませることができます。

この手のブースターはその色づけの部分の効果を得るために、歪みエフェクターの前にも後ろにも置くことができます。もちろん後ろに置いた方の効果が強いわけですが、ブースターを前に置いた場合、その任意のレンジ(帯域)をブーストしてから歪ませるので、任意のレンジが強調された上でその部分の歪みが増強されます。音量はその任意のレンジの部分だけが少々上がったように感じますが、基本的にはあまり変わりません。逆に後ろに置いた場合には、歪ませてから任意のレンジが上がるので、歪み量は変わらないものの任意のレンジが強調された上で音量が上がります。ですから、ダイナミクスの重要度で前に置くか後ろに置くかを決めて良いでしょう。

プリアンプ系ブースターというのもこのジャンルと言っていいでしょう。Xotic EP Booster、RC BoosterやCatalinbread Echorec(ディレイですけど内部SWによるブースター機能あり)、MXR Echoplex Preampなんかもこの部類と思ってください。

また、このジャンルではOne Controlが面白いブースターを取りそろえています。Perple Humper(ミッドブースター)、Little Green Emphaser(フルレンジ+トレブルブースター)、そしてRasberry Booster(後述)です。

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Little Green Emphaserは本当に良かったです。1ノブの「Blend」でフルレンジ(12時より左側)とトレブル(12時より右側)をシームレスに切り替えます。

ブースト量は+16dBですが、効果は抜群で、歪みエフェクターの前でも後ろでも好きなポイントを押さえる事ができます。歪みで抜けを作りたい時(前段向け=音量を上げず歪みをコントロールしたい場合)や抜けのあるソロ音を作りたいとき(後段向け=歪みの音量を上げるソロ時の場合)には、本当に良くバシッと決まってくれます。

願わくばブースト量のコントロールが欲しかったところですが、たぶん+16dB以下ですと効果が薄れるので固定にしたのでしょう。トーンがパッシブでやや甘めの音を持つ歪み系には相性がいいと思います。

変わり種はRasberry Boosterです。GainノブとMasterノブによるコンプレッション具合(音量も含む)を調整しながら、Zノブでインプットインピーダンスを変化させると言うもの。Zノブは一聴するとただのトーンのように聞こえますが、本来はギターから直結してクランチセッティングのアンプをダイレクトにブーストするように作られたもの(つまりギター→ブースター→アンプの接続)ですので、つなぐギターのPU特性と密接な関係があります(詳しくは同社HPを参照のこと)。たとえばシングルPUでもハイパワーなハムバッカーPUの音が出せるようなものです。その逆もありで、ハムバッカーPUでシングルPU並の堅めの音を出すこともできます。言ってみれば同社のPurple Humperの効果を発展させたようなものです。

Rasberry Boosterは最初試奏したときはただのトーン付きブースターくらいにしか感じませんでしたが、HPを読んで理解してから試してみると、その効果に驚きました。確かにボードに組み込むと言うより、クランチアンプをダイレクトにコントロールする方が特性が良く感じられます。まあ、決してボード内でも効果がないわけではありませんが、GainノブとMasterノブをガツンと上げたときには結構いい音出しました。

 

4.コンプ系ブースター

基本的にはクリーンブースターの部類なんですが、その効果にコンプレッションをより強くしたものがあるのでご紹介します。

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TC Electronic Spark Boosterと同社Spark Booster Miniです。HPを読むと基本的にどちらも歪みの後ろを前提にしています。前者はコンパクトタイプでクリーンとミッド、ファットなる切り替えがあり、さらにアクティブのEQがついてまるでプリアンプ的感覚。

使ってみると、クリーンでもちょっと原音からかけ離れた音質になるのがいただけません。なので歪みの前に突っ込んでみると、ブーストはいいのですが、これまた全然違う音になります。

で、おすすめできるのはSpark Booster Miniのほう。EQはないのでその分プリアンプ的に使えるストレートな音質です。というか、クリーンブースターという性格上、実にうまい機能がPrimeTimeです。

モーメンタリーSWに切り替えて、踏んだときだけブーストする機能です。一瞬のフレーズだけをブーストするという機能だけは良いと思います。

 

さすがにレビューも含めると長いので、後編へ続きます。