モジュレーション系

「膨らむ」コーラス

2018年 11月 25日 18:19 | カテゴリー: モジュレーション系
2018年 11月 25日 18:19
モジュレーション系

相変わらず、前記事が前置きとなっておりまして、今回コーラスでお伝えしたかったのがこちらの記事になります。

言葉で表現するのが難しいのですが、あえて言うならば「膨らむ」コーラス、というのが出始めてきています。まあ僕が勝手にそう呼んでいるだけですが、明らかに前出の「揺れる」コーラス、「揺れない」コーラスとはひと味違うのです。

 

「膨らむ」コーラスって?

前の記事で、10~30ms程度がコーラス、50msまでいくとダブリングと言いました。つまり、この原音からどのくらい遅らせるかを調整できる「Pre Delay」と言うパラメーターを備えたコーラスなのです。

ラック式のモジュレーション搭載ディレイを使ったことのある方なら理解できると思います。モジュレーションでコーラス部分を作るのですが、Delay Timeを少しずつ動かしていくとだんだん深みが増すというか、音が膨らんでいくのがわかります。音が2つに聞こえるダブリングまで行かない程度にPre Delayを調整すると、微妙に原音がずれて膨らんだ感覚に聞こえます。

chorus_predelay.png

つまり、仮にそのエフェクト音がAと言う奥行き感があるとするならば、原音からのスタートがPre Delayで設定した分だけ後ろにずれることになり、原音とミックスすることで奥行き感Aがより深みがあるように、膨らんで聞こえます。そして本来の厚みや広がり感を感じるステレオでなく、モノラルであってもそうした厚みが保たれるのです。

コーラスをちゃんとステレオで使っている人ってどのくらいいるでしょう?多分ボードに組み込んだ時点でほとんどの方がモノラル出力なのではないでしょうか?

以前「Chorusはゲイン落ちする?」という記事で、コムフィルター効果の影響でゲイン落ちすると書きましたが、信号が打ち消しあう部分をうまく通すためのコムフィルターなので、モノラルで出力すると1本で出力されるので、コムフィルターの効果がより多く含まれます。結果、ステレオで出力するよりもコーラスの効果自体が薄くなるわけです。こうならないように、各メーカーさん相応に努力しているわけです。

ですが、この「膨らむコーラス」の場合、ただエフェクト音を後ろにずらしているだけですから、ディレイと何も変わらず、基本的にモノラル出力で行けるため、(自分が聞いた限りの)聴感上ではきれいな厚みのあるコーラス音として聞こえます。

 

Pre Delayを備えたコーラス

2018年11月現在で発売されている、Pre Delayを備えたコーラスをご紹介します。代表的に2台、番外編で1台です。
 

1つ目はこちら↓

Providence ADC-4 Anadime Chorusです。こちらは、DeepスイッチでLight/Mid/Deepと、3段階でPre Delayの調整ができます。動画ではこの効果をうまくご紹介できているのが少なく、まあこちらが一番Deepスイッチの効果が聞けるという感じで載せました。スイッチの切り替えで膨らむ感じが聞かれると思います。Pre Delayのタイムが3段階とはいえ、そのどれもが使えるチューニングを施してあるのが、さすがはProvidenceですね、今、自分が一番欲しいコーラスです。
 

2つ目はこちら↓

Keeley 30ms Double Trackerです。これ、普通のコーラスとはちょっと趣が違います。それは、あのBeatlesのレコーディング手段だった「ADT」を模したものとして開発されたそうです。つまり、元々がダブリングをメインにしたものですが、Pre Delayも0~30msと名前通りのコントロールで、しかもリバーブも内蔵しているという、なかなかおいしいモデルです。セッティング次第でかなり音が変わります。

Dimensionモードが2相コーラスで、Abbeyモードが単相コーラス、Slap Backモードがショートディレイです。Outが1つしかありませんが、普段はモノラルで、ステレオインサーションケーブルを使うことでステレオにもできます。

このムービー、選曲が好きです(Boston Don’t Look Backなどが出てきます)。
 

番外編の1台がこれ↓

MXR 5150 Chorusです。これはPre Delayを装備していないのですが、普通のコーラスかと思いきや、最初のコーラスBoss CE-1のリスペクトモデルとでも言いましょうか、その深さの度合いがInput/Outputの設定でがらりと変わります。CE-1はもともとギター専用ではなく、ほかの楽器に合わせられるようにInputレベルがスイッチで変更できました。これにより音が変わるんですね。インピーダンスの変化なのか、仕組みがよくわかりませんが、とにかく音が深くも浅くもなります。

まあ、Input/Outputのレベルを変えるので、エフェクターボードの中にあれば音量調整に苦労しそうですが、ムービーの音量だけではないところ(11:40あたりから)の音質の変化を聞いてみてください。できれば音量を揃えてくれるとよかったのですが...。

 

これら3台のコーラスは、たとえばBOSSのCE-5(揺れるコーラス代表)やDC-2W(揺れないコーラス代表)などと並べて聴き比べすると明らかに膨らみ具合が違います。そして、揺らすことも揺らさないこともセッティング次第で可能です。

 

もう一つ見つけました

さらにデジマート物色中にもう一つ見つけました。ストンプタイプではないのですが、Boss MicrorackシリーズのRCE-10です。ハーフラックタイプですが、その大きさ故にコーラスでもコントロールが多いのです。そこに「Pre Delay」が搭載されています。カラフルなつまみの前期型、モノトーンの後期型がありますが、(たぶん)中身は一緒です。

時代背景としてはコンパクトのCE-3が現行機種で、奇しくも宅録が流行っていた時代で、それに合わせてCE-2からステレオ対応として発売されたものです。ところがコンスタントに売れてはいましたが思ったほどCE-3ってヒットせず、当時、位相反転でぶつけたステレオ信号が意外と気持ち悪いとか、結局ギターではモノラルで使用することが多く、CE-2より音が引っ込んで聞こえるなどの評価でした。で、宅録向けにスタジオ機器のラックタイプより手頃で、機能が豊富なエフェクトというわけかどうかはわかりませんが、MicroRackシリーズとして打ち出されます。確か後のMicrorack Proシリーズまで含めると10数種類のエフェクトが出ています。

rce10.png

いまやビンテージ扱いですが、一応デジタルです。昔使っていた時と印象は変わりません。やっぱり、今のコーラスよりは深くて濃い(甘い)イメージです。なぜならデジタルとは言っても1986年発売ですから現行機の16ビットリニアものではなく、12ビットの量子化です。デジタルでは粗いと言いますか、音質的にはきらびやかではなく、少々甘めです。しかも一応2相コーラスです。

プリディレイタイムが0.5~35msと、フランジング領域からダブリング1歩手前までというのがニクい設定です。そしてトーンもハイカット/ローカット仕様で、効きも良いです。ちょっとコンパクトでは出せない幅を持っています。CE-2よりもCE-1らしく、DC-3(DC-2の後継機で、コントロールがつまみになったモデル)よりもDC-2らしい(もっとSDD-320寄りかも?)感じですので、結構万能です。Chorus Ensembleの名前を継ぐのは伊達ではありません。

コーラスに迷いが出るとすぐに戻ってしまうこれは結構好きです。ハーフラックなのででかいのが難点。ボードに入れてもコントロールが上でなく手前になるので操作がしにくいです。まあ、逆に言うと触れることがないのでそれはそれでありと思います。オン/オフの切り替えはFS-5Lですので、上に乗せています。ダイキャストではないので上に乗ったりはできません(笑)が、フットスイッチは軽めなので操作に難点はありません。

今や中古で安くなっているので狙い所かもしれません。