その他

突き詰めるとそれは「機能美」になる

2012年 05月 02日 05:03 | カテゴリー: その他
2012年 05月 02日 05:03
その他

今回はちょっとしたコラムです。いつも欠かさず「The Effector Book」を読んでいますが、暇なときにはいつもどの号かしら読み返しています。そして昔の仕事柄、どうしてもデザインには目が行きます。

車で言うとポルシェやフェラーリ、ギターで言うならストラトやES-335など、共通しているのは、必ず「機能美」を持っています。つまり、そのものの最大限の性能を引き出し、使うに当たってより良くできているといいましょうか、それぞれに設計時から思想を持ち、基本性能はもちろん、限界まで同じように使うことができるようにデザインされています。

特に私自身好きな車や楽器には、さらに気に入るように改造を施すわけです。それでさらにポテンシャルがアップし、他にはない独自のものができあがります。

 

デザインはどんなものにもあります

モノという形があるモノには、必ずと言っていいほどデザインが施されます。それは見た目の美しさであったり、取説なんか読まなくてもわかる簡単な操作ができる部分であったりします。しかし、そのどこか一部が秀でていても、小さなどうでも良さそうなところがおろそかでは、そのものが持つ100%の実力を発揮できません。

たとえば、ギターであるならレスポール。好きな方には申し訳ないのですが、誰もが思っていることでもあります。確かに木目やシルエットの美しさや音質を考えたラミネートボディ、強度とサステインを生むためのセットネックなど、良い点は限りなくありますが、たった一つだけの汚点は、ハイポジションが弾きにくいことです。シングルカッタウェイ故に仕方ないのですが、それを上回るようにネック接合部が大きいから生まれる音の太さなど、有り余る美点がそれを良しとしています。でも、「ハイポジション弾きにくいですよね?」と言ってしまえば、(たぶん)だれもがうなずくことでしょう。

アンプでもあります。昔のFender Tweedアンプなどはコントローラーが手前でなく、天板の奥側(後ろ側)に付いてます。これは、昔のバンドでは出力が低いこと、バンドは歌い手の後ろであることという風習で、アンプを演奏者の前に置いて演奏していたことから、演奏者に近い方にコントローラーがつけられたという話は、有名な話です。ところが今ですと、やはり扱いづらいモノなっていますので、新しいアンプ(Tweedの次のトーレックス系)ではスピーカーと同じ前面に配置されるという経緯があったわけです。

The Effector Bookなど、新しいメーカーのインタビュー記事や、新製品レビューなんかを見てますと、音に関してはどの人も自身の裏付けや信念に自信があって、良いモノであろうということが伝わってきます。しかし、本当にそれでよいのか、今ひとつ考えてみて欲しいのです。本当に100%のポテンシャルが出せるかどうかを、です。

 

メーカー、ビルダーの方々に考えて欲しいこと

ことをエフェクターに限定しましょう。昨今では、個人ビルダーの方も自身での改造や、新しい製品の開発で、世の中にはたくさんのエフェクターが出回るようになりました。私もいくつか試したモノもあります。本当にすばらしいサウンドを奏でてくれるのもあれば、かなりマニアックなモノ、また好き嫌いがはっきり分かれるようなものなど、いつもその評価には迷います。いかんせん、自分のシグネイチャーモデルではないので、「どう?」と聞かれても、いつも自分の個人的意見と、万人向けの推測した意見の2つを返すようにしています。

ビルダーの方にも、開発中での思うところはあるのでしょう。サウンドに関しては、聞きたいことや苦労した話など、いろいろと話は弾みます。ですが、いつも言っていることですが、ぜひ「機能美」を突き詰めて欲しいと言うことです。サウンドについては良くコメントを求められるのですが、それこそ商品にするのであれば、デザイン面でもコメントが必要なはずです。コスト面や流通しているモノにも限度はあることでしょう。しかし、機能美なくしてあり得ないわけです。
 

フットスイッチとコントロールの位置

とにかく一番はこれで、いかにすばらしいサウンドを持っていようが、フットスイッチを踏んだときにコントローラーが動くような距離、つまりドカッと踏んづけて、設定まで変わっては意味がありません。

ライブなどで、ソロ時にはオンしたエフェクターを後ろにギタリストはステージ前に出て行きます。最後弾ききって戻りますが、自分で盛り上がって戻るのが遅れたときなど、わざわざエフェクターボードを定位置にする前まで来て、切り換えるようなことでは、ギタリストとしてはまだまだです。ですから、自分は間に合わなければ、上から踏みつけつけます。つまり、つまみのある前方向やエフェクターボードの横や斜めからスイッチをオフにすることなんて、ざらにあるわけです。真上から踏みつければ意外と問題ありませんが、足は膝から振られて伸びますから、必ずつまみの回る方向へのベクトルもあります。

ですので、近すぎればもちろんだめですし、コントロールがサイドでも設定値が読めないのはナンセンスです。つまり、ある程度の大きさは必要なのです。ヴィンテージエフェクターを見ていただければわかるでしょう。基盤はとても小さいのに箱だけは妙にでかい。これは、当時エフェクターボードなんてモノもなく、しかもアンプなどに負担にならないよう、伸縮自在のカールコードを使用することが多かったわけです。バネのようですので、動かないように大きく、重量が必要だったことは言うまでもありません(これが当時求められた機能美です)。Tone Benderしかり、Fuzz Faceしかり、です。その上でスイッチ部分は斜めになって踏む方向を示唆することで、つまみに触れることはなかったのです。

MXRサイズのボックスでも、極力スイッチとノブは離して欲しいですし、つまみも小さくすればいいのに(チキンヘッドとか、すぐに回るのは問題外)とか、トルクの堅いボリューム使うとか、工夫は欲しいです。
 

筐体

コンパクトでも発売時から30年以上、一貫してデザインの変わらないBOSSは突き詰めた機能美に他なりません。スイッチの大きさ、踏んでも絶対につまみに触れることはないコントロールとスイッチに段差の付いた設計、なんだかんだ言ってもやっぱりあのデザインは優秀です。たぶんコンパクトの筐体であれを超えるモノは出てこないでしょう。コスト面でもほとんど同じ筐体ですから使い回しできるので、相当前にペイできているはずです。ですから、MaxonやDegitechなどのメーカーが、大きめのスイッチ部に段差の付いたコントローラー部などの基本的な筐体デザインは似ているモノが多いわけです。あのMXRですら、似たデザインで出していたシリーズもあります。最近では個人ビルダーでもAmptweakerやCornell(1st Fuzz)なども似た方向のデザインです。

昔のエレハモのようなアルミ筐体は問題外です。新品を一発でスイッチ踏み抜いたことありますし(弁償しました)、つまみがでかいのですぐに設定が狂います。スイッチもつまみの位置も悪いし(中心に寄り過ぎ)、音が良いのが多いのに残念です。StrymonやWay Hugeなど、音で欲しいモノはあるのに、ヤワそうな筐体ですから、買う気になれません。

スタンダードなMXRサイズに電池スペースやらで制約があるのはわかりますが、そこは少々筐体が大きくても良いと思うんです。また、このサイズを横に使うのはありえません。Z-Vexとか良いモノ多いのにその使いにくさ故にありえません。3コントロールあるなら迷わずPhase100クラスのサイズでも良いです。それで、前述のコントロールとフットスイッチが離れて、コントロール性が上がるなら、それが機能美になります。

 

大きさはある程度しか問題ありません(たぶん...)

昨今では、よりコンパクトな方向へシフトとしていますが、中身が入らなきゃ意味ないし、小さすぎて転がっては意味ないのです。意外とギタリストって気分でエフェクターを入れ替えたりするので、完全固定では分が悪いのでマジックテープとか使うか、ボードに入れてはいるものの固定しない人が多いです。

なので、転がるような小さいモノは問題外ですが、別に大きくても中身良ければ使うんです。たとえば、それでしか出せない音を持つモノ、エレハモのDeluxe Memory Manとか、Line 6のDL4とかがそれです。自分でも使っているVisual Soundの2 in 1モノもでかいです。

でもこれらは良いから使います。エフェクターですからサウンドは一番として、納得すれば使うんです。大きさを一番に、サウンドを犠牲にしてエフェクターを選ぶ人はいないでしょう。だから自信があるならなおさら、より磨きをかけて、テクニカルな機能だけでなく、デザイン(=ユーザーインターフェイス)まで考えて欲しいのです。

足って、靴履くとさらに大きくなるんです。だから工夫も必要です。うまいなあと思ったのがMI Audioのシリーズです。あのミニノブで、サウンドバリエーションが広がると共に、あれなら足で回ることはありません。唯一は、電池スペースとスイッチを入れ替えて、スイッチを一番下にしてくれると完璧だったのですがね(音の好き嫌いは、ここでは別問題として)。もう一つ、あの小ささでガードバーが付いたGuyatoneのmighty microシリーズとか、やはりメーカー製はオリジナルデザイン(UIの設計)までできる点は、評価したいところです。

あと、家じゃつま先とか指で踏みますが、ライブなど練習やライブハウスなら靴履いて、踏むのは指の付け根である腹の部分が多いです。ですから靴ならより上に伸びるので、コントロールに触れやすい訳です。筐体が大きいなら安全スペースもできるわけです。

 

理想を言うなら

  • ボディはダイキャスト製
  • 3コントロール以上なら、Phase100と同等以上の大きさで、フットスイッチとはできる限り離す
  • ノブは小さめ
  • ボリューム類はトルクのあるモノ
  • コントロール系のスイッチはスライドか、トグルならレバーの短く少々太いモノ
  • コントロール類とフットスイッチに段差があると良い
  • 2つのフットスイッチを有する場合、間隔はスイッチの中心で計って70mm以下(要は同時に踏む必要があるようなスイッチは、いろいろな方向から踏んでも片足で踏める距離)

です。あと、Phase 100の大きさでも横はないかな?ノブの大きさにもよるけど、スイッチと離れていれば良し。MXRのスタンダードサイズで横はないです。