モジュレーション系

Pitch Shifterの簡単な歴史 その1

2011年 03月 13日 01:24 | カテゴリー: モジュレーション系
2011年 03月 13日 01:24
モジュレーション系

今までと違って簡単な歴史です。と、いうのも正直どこまで知っているのかが、自分でも疑問ですので、知っている限りで書いてみます。もしこんなのもあったよというのがあれば、教えて欲しいです。

 

始まりはテープレコーディングの現場から

正確に年代を追えたわけではないので、どれが先かはわかりません。それこそFlangerの由来となった「Flage(「縁」の意味)」はオープンリールテープのリールを手で押さえてピッチが揺らぐ現象が発見になったと思います。

次の発見は、電源による差です。4トラックのレコーダーなんかなかったころ、50年代中盤頃かな?アメリカからイギリスへ向けての60Hzから50Hzの機器を輸入してモーターの回転数が変わってピッチが合わなくなったことでしょう。

次の発展は、Vari-Speedです。テープスピードを上げてテープの録音情報を上げる(要はいい音で録音する)ために、テープスピードコントローラーが装備されたレコーダーが出てきました。これがVari-Speedで、半分のスピードにすることで1オクターブ落ちたのが、その効果です。もちろんその逆もありで、半分のスピードで録音し、通常スピードに戻すとオクターブ上がるということもあったようです。

このVari-Speed以外にも、リールを反対につけて再生したらリバースしたとか、テープを切り刻んで空中へ投げ、無作為につなぎ合わせたらおもしろかったとか、初めてのループサウンドはピンクフロイドの「Time」で、テープに録音したモノをマイクスタンドにかけ、リールで回したとか、まあ、テープ録音時代には実験的なことが遊びの中で見つけられ、レコーディング技術化したということが、たくさんあったわけです。

 

早くからあったオクターバー

octavia.jpg

原音ピッチより1オクターブ(または2オクターブなど)下げた上げた音を出すオクターバーは、割と早くからあったエフェクターです。といっても、最初はFuzzとの合いの子でした。これが、Tycobrahe Octaviaです。Jimi Hendrixの使用でも知られています。これのヒントがテープスピードを半分にしたことでオクターブ音が得られたことにあります。その単純な回路から音の周期を半分にするのは割と簡単なんだそうです(私はあまり回路には詳しくないので)。クリップさせた波形は矩形波となり、その矩形波を半分の周期にするため歪みとのコンビネーションは不可欠だったわけです。

年代的には60年代後半くらいからでしょう。Octaviaを追っていっぱいクローンが出回ったわけです。MXR Blue Boxが確か73~74年くらいのはず。アッパーfuzzはもう少し後で出てきます。ピッチを上げる方が回路的に難しいそうです。でもピッチ単独機はまだ出てきません。

すみません、勘違いしていました。「音の周期を半分にする」とアッパーです。Tycobrahe OctaviaはアッパーオクターブのFuzzです(文中、取り消し線および赤字は2011年3/17加筆しました)。

 

スタジオ機器として初のHarmonizer

名前でおわかりでしょう(HarmonizerはEventideの登録商標です)が、1970年前半のEventideのH910です。ゆくゆくのH3000でもっと有名になりますが、これはその初代機。Eventideの名を広めた初のエフェクトです。その後H949と続きます。

これ、使ったことがないので詳細がわかりません。EventideのHP行っても詳細が見当たらないのですが、ボーカルによく使われたと言うことと、写真を見ると本当に1人でハモりやダブリングをやるためのマシンのようです。

言ってみればダブリングマシンとでも言いましょうか、Beatlesで有名になったADT(Automatic Double Tracking)の再現とでも言いましょうか、ピッチとディレイ、フィードバック防止機能がついていました。

 

MXR Pitch Transposerの登場

さすがに私もこの辺の有名どころしか知らないんですが、たぶん単独機として出てきたモノは、このMXR Pitch Transposerでしょう。本体が2Uで、Displayが1Uというちょっと変わった構成です。初めから3Uでディスプレイつければいいモノを...なんて思うのですが、MXRの戦略で1970年代はコンパクトで成功しましたが、1983年にRack Mountシリーズとして、1Uまたは2Uで揃えたからに他なりません。

現物を知っているのは青い2UのPitch Transposerです。調べると、Pitch-shift Dublerなんてモノもありましたが、こちらは音を聞くとどうやらステレオコーラスぽい効果でした(かなりダブリングっぽい感じでした)。

Pitch Transposerは実際に使ったことはないのですが、ディチューン~上下1オクターブの可変ができて、3音同時発音、4プリセットじゃなかったかな?よくわからないので、これを見てください。
 

意外とタイムラグもなく、今までも使えそうな気がしますね。確か本体が当時17万だったかくらいでした。

 

ラックタイプで出てきたのがSPX-90

yamaha_spx-90.jpg

エポックメイキングだったのが1985年のYAMAHA SPX-90です。しかも(確か)¥99,800だった気がする。爆発的人気で売れまくったわけですが、この中に「Pitch Change」と言う機能があって、これが上下1オクターブ変更可能でした。リバーブからディレイ、コーラス、ゲートなど、モジュレーション系、空間系は一通り網羅したエフェクターでした。種類はいっぱいあっても使えるプログラムは1つだけという、「マルチプロセッサー」という先駆けのネーミングで登場してきました。私も何台買ったですかね。結構使っていました(でもピッチシフトで使ったことはなく、ピッチディチューンか、3相コーラス、リバーブで使っていました)。後にSPX-90 II、SPX-900、SPX-990、SPX-1000へと続きます。

実際レコーディング現場では、Pitch Changeをボーカルのダブリングで使うのを目にしたことがあります。Eventide H910と同じ使い方です。