EQ・フィルター系

イコライザーについて その2

2011年 01月 18日 01:00 | カテゴリー: EQ・フィルター系
2011年 01月 18日 01:00
EQ・フィルター系

案の定、まだ続く前置きです。

 

ギターの音質について

話をギターに限定してみましょう(ベースも含まれますが、以下に出てくる周波数はギターのものです)。

ギターは中低域にあたる楽器です。もちろんノンエフェクトのノーマル音が一番広い周波数を持ちます。いわゆる生音ですから基音はしっかりしているし、倍音も多く含みます。ですからアンプで増幅するだけでレンジは広く感じられます。問題は歪みです。

もともと歪みは邪道でした。これはアンプの歴史のところで書きましたので詳しくはそちらを見ていただきたいのですが、歪みは基音の波形を、文字通り歪めてしまいます。これは回路の処理できる信号レベルをオーバーレベルにしてわざと波形を変えてしまうわけです。この波形はノーマル音がおよそ鋸歯状波であるところを規格以上にブーストするために矩形波に近づいていくと言うのが原因で、Distortionの基本原理です。

FuzzやDistortionは紛れもなく矩形波になります。だから奇数倍音が発生し、偶数倍音が消えていくので、音に表情がない一律の音(歪んだという意味で)になります。当然倍音がふくよかではないので、表情は付けにくく、それこそピッキングニュアンスなんかは付けづらいですし、歪ませれば歪ませるほど、基音は原形をとどめないばかりか倍音も減るので音が細くなるわけです。
 

ラウドネス効果

メタル系やハードコア系(今はなんて言うんでしょう?)ギタリストがギンギンに歪ませた音でもあの太さが出せるのは、音量がでかいからです。音量を上げれば上げるほどラウドネス効果が現れます。ラウドネス効果とは大音量になるほど、人間の耳は低音と高音が上がって聞こえます。ある程度距離を取るならば、アンプで設定した以上に聞こえます。ですから、本来のギターの原音というのは失われても、単一化した周波数による特定の狭い音域でギターと認識できるので、太く感じてしまうわけです。ライブとレコーディングではアンプのセッティングは決定的に音量が違いますし、特にレコーディングは魔法のように音質を作り込めます。レコーディングでライブと同じ音量では音が暴れるどころか、機材に負担をかけるのでまともな音なんか録れはしません。だから調整が必要で、音質についてはイコライザーが必須になります。

もう一つ言うならば、昨今のモダンギターアンプはヴィンテージアンプに比べ、Midがかなり強く出ています。これは先ほどの大音量を望む声が多く、ラウドネス効果を補うように(太く聞こえるように)設計されたからに他なりません。試しにPod X3で、MarshallのJCM800とJCM2000のモデリングを比べても実に良くMidの差がわかります。
 

アンプ直派とエフェクター派

また、アンプ直派とエフェクター派の音痩せ議論はギタリストにとって終わることのない問題ですが、前述のようにアンプ直でも歪ませれば音痩せします。基音波形が変化するので当たり前のことです。ではなぜエフェクターを使っていることであれだけ音痩せするのでしょうか?

答えは簡単です。余計な回路を挟むことで、ギターの原音に変化があるからです。いくらトゥルーバイパスにしたって回路を通さないから良いというモノではなく、少なくともInputからSwitchへ、SwitchからOutputへつなぐ線はシールド線ではないでしょう?たかが単線でしかもあんなに細くて、どこに劣化が生じないなんて言えるのでしょうか?しかもシールドは2本必要になるので、長くなるほどコンデンサー同様に高域が落ちるのに、出力段にバッファもなく対策もされないじゃありませんか。その上スイッチングノイズのむごさといったら、アンプ(スピーカー)を飛ばしてもおかしくないような「ゴッ」とか「ボッ」というノイズを発生するし...。スイッチなんて消耗品なんだから、使うほどにノイズも大きくなってくるわけです。

まあ個人的な文句はさておき(私はアンチトゥルーバイパス派です)、歪みに関して付け加えておくと、矩形波化して偶数倍音が無くなってくるので、そうすると音質の単一化が生じてきます。これはどういうことかというと、基音がはっきりしてくるので音が作りやすくなります。つまり、ギターソロを例にすると、たとえ下から上に駆け上がるようなフレーズで再生周波数帯が広いとはいっても、倍音にあまり手を付けなけいで、基音をベースとして音質が作れると言うことです。

具体的に言うと、500~800Hzあたりでギターの太さを出し、1kHzあたりは音の芯を作り、4~8kHzあたりで抜けや艶を作るというのが定石です。これは主に曲のミックス時に適応される周波数ポイントですが、おおよそのギターアンプのトーン(ギターアンプのトーンもEQです)、Bass、Middle、Trebleはこの辺りを中心に調整できるような回路になっています。ただし、ピンポイントではなくピーク周辺の周波数も増減されるようになっています。

そして、PODのところやアンプでも説明しましたが、ほとんどのアンプはBass=0、Middle=10、Treble=0でフラット、言い換えるとトーン全てを5にしたときには、Middleが落ちる形、いわゆるドンシャリ気味に設定されています。

だからギターらしい音質を作るには、まずは中域を多めに出してやることが必要です。適度にBassを上げることで太さが加わり、Trebleを上げると抜けが変わってきます。アンプ直ならこれでOKですが、エフェクターを通すなら(たとえ曲のミックスでも)音質を補正してやることが太さやギターらしい音につながるわけです。結果、音痩せをカバーする音作りとなります。