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マニュアルにも書かれていないパンとSendトラックの使いこなし方1/3

2013年 04月 03日 05:49 | カテゴリー: Mix
2013年 04月 03日 05:49
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よく「音像が引っ込まない」、「広がり感が出ない」、「距離感が出ない」、「包み込むようなストリングスを出したい」など、奥行きや広がりに関するお問い合わせや質問をいただきます。過去記事にもそれにまつわるパンとかリバーブの使い方を書いていたつもりなんですが、ここへ来てやっとそうした問題に当たっている方の悩みどころがつかめた気がしています。

今回もご多分に漏れずに横道に逸れます(かなり密接してますが)が、高機能であるが故のLogicにおけるミックスの問題点、簡単に言うと「使いこなし方」のハウツーになります。

調べてみると、マニュアルには書かれていないし、手元にあるハウツー本にも書かれていない、昔からミックスやっている人(特にハードウェアミキサーでのミックス)や、他のDAWでは普通のことでも、Logicの方は多機能故の悩み、千差万別なやり方があります。

今回はその「パンとSend(AUX)トラックを自在に使いこなす」ことで、「ミックスにおける自在な音像調整をモノにする方法」を取り上げたいと思います。今回は音源が多いので、ヘッドホンを用意してもらえると効果の確認が出来ます。パソコン内蔵のスピーカーでは聞きにくいので、外部で鳴らすようにしてください

現在ミックス中のサンプル(現在書いている記事)で説明しても良かったのですが、あまりにも本記事が長くなるので、ここは抜粋してお届けします。

 

トラック動作と表示の基本

Logicに限らず、画面上には様々な情報が表示されます。ただ、あまりにも細かすぎて「何が、どうなっているときに、その表示なのか」がつかめていない場合が多いのではないでしょうか?つまり、自分の思い通りにその設定を行って理解しているかどうかが問題です。理解をせずにデフォルト(初期設定)しか使っていない状態では、思い通りの音像設定が得られません。
 

ユニバーサルトラックモードの切り換え

以前「Logic Pro 8(以降)のステレオトラックのパン調整」で、詳しくやったユニバーサルトラックモード。この記事では、扱うステレオファイルを通常はインターリーブステレオファイルであるところを、強引にスプリットファイルとして扱うための説明をしています。

本来こうした使い方は、過去からやってきたハードウェアミキサーでのミックスに近い形に持って行く、言い方を変えると、Pro Toolsや他のDAWと同じようなトラックの扱いに関するやり方です。ところがLogicではフレキシブルであるが故に、独自のトラック制御方法として「どんな形のステレオファイルでも扱えますよ」という「ユニバーサルトラックモード」を採用しています。

なので今回の説明では、基本的にデフォルト(初期設定)である「ユニバーサルトラックモードをOFF(チェックマークを外した)の状態」でご説明していきます。設定を確認してください。ユニバーサルトラックモードの切り換えは、メニューより「Logic Pro」→「環境設定」→「オーディオ...」のダイアログ内、「デバイス」タブにあります。

ちなみに、トラックを1つでも作成した後から、ユニバーサルトラックモードを切り換えると、ステレオとモノラルの表示と動作がめちゃくちゃになります(ファイルの変換は自動的にしてくれます)。たとえば、モノトラックにモノ→ステレオエフェクトをインサートして、バス出しでステレオにすると、最初のトラック表示はステレオメーターにモノトラック表示、AUXトラックにはステレオメーターにステレオ表示で、モノ/ステレオスイッチで切り換えができますが、モノにしたときに音が出なかったり、片チャンネルしか聞こえなかったりします。また、アレンジウィンドウでステレオとモノが混在していると、奇数と偶数の違いで出力されない音が出てきたり、ステレオトラックの音が別のトラックに被って出力されたりします。

ですから、ユニバーサルトラックモードは必ずLogicを空トラックで立ち上げてから、すぐに切り換えてください。切り換え後に、必要なトラックを作るとちゃんといつもステレオ/モノの切り換えが選択できるようになり、「~トラックに制御されています」という空トラックが表示されなくなります。

というか、覚えておいて欲しいのですが、このユニバーサルトラックモードはLogic独自のモードです。他のDAWには通用しません。これからやろうとしているのは、他のDAWでも普通に使えるテクニックです。というか、これが基本なので、僕はいつもユニバーサルトラックモードは外しています。

ついでに言っておくと、普通のステレオファイルはインターリーブです。L/Rが完全同期しているMP3ファイルやCDからのリッピングは、そうです。完全なスプリットファイルはPro Toolsくらいです。

 

モノトラックにモノエフェクトをインサート

0102mono_track.jpg

もうこれは説明いらずでしょう(図1)。この場合はパンも普通に効きます。上2つはコンプとEQですからモノです。

では3段目にリバーブをインサートします(図2)。

この選択の時に、モノラルを選択します。インサートですから、リバーブのOutputでバランスを取ります。Dry=100、Wet=任意です(図3)。

03Reverb_insert.jpg

ここでは、効果がわかりやすいようにめちゃくちゃ深くしています。これを書き出してみましょう。

もちろん書き出しはステレオですから、インサートされたモノラルのリバーブは、トラックのパンと一緒に左へ行きます(ですからここではステレオですが、左からしか音は鳴っていません)。

聞いた効果としては、ただ単に音源に残響が付いただけとなっています。
 

 

モノトラックにモノ→ステレオエフェクトをインサート

では、先ほどのモノリバーブをステレオリバーブに変更します。すると、ミキサーチャンネルのメーター表示がステレオになります。メーター下のステレオ/モノ切り替えボタンはモノのままです(図4)。音源をセンターに戻して聞いてみると、ご想像通り、音源はセンター、リバーブの残響がステレオになって広がります。

04.jpg

ちなみにステレオ/モノ切り替えボタンを押してステレオに切り換える(○が2つ重なった状態)と、片方からしか音が出ないと同時にエフェクトが全部消えてしまいます。これは、エフェクトライン上のリバーブの出力に矛盾が出て、Logicが自動的にエフェクトをすべてキャンセルしてしまう現象です。音は元々モノですからどちらか片方からしか音が出ないわけです(図4-1)。

ユニバーサルトラックモードをオフにすると、こうして表示と出音の矛盾がないようになるので、モノトラックにステレオエフェクトがインサートされていることが、メーターとステレオ/モノ切り替えボタンで判断できます。

では、パンを振ってみます。今度は右に振り切ってみましょう。先ほどと同様に、音源とリバーブが追従してちゃんと右へ移動します。左に振っても左へ追従します。このパンの状態は「ポストパン」といえます。このミキサーは基本的に信号の流れが上から流れてきますから、エフェクトを上から順番に通過して、パンを通り、フェーダーを抜けて、Outputへ向かいます。つまり、パンの直前であるリバーブから信号が左右に分割され、L/Rどちらにどれだけ信号を流すかを決められるのがパンで、パンの位置が信号の分割後であるから「ポストパン」というわけです。
 

 

まだまだ続きますよ。