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リバーブでの奥行き感(20130506追記)

2012年 07月 21日 22:32 | カテゴリー: DAW , Mix
2012年 07月 21日 22:32
DAW , Mix

ミックスしていると左右の音像はPanでどうにでもなりますが、奥行きを求めるとすぐに使うのがリバーブです。しかし、音像がぼやけるとか引っ込まないとか、よく耳にします。

リバーブは残響をつけるためのエフェクターですが、やはりプロともなると、うまい使い方をして、ちゃんと音像を保ちながら、奥行き感がはっきりして、全体のバランスが良いものです。

今回はそのリバーブの、特に「奥行き感」に重点を置いてお話したいと思います。

 

バランス取り

まずは平面ミックスでちゃんとバランスがとれていることが重要です。もちろんEQなどで音の立ち方が精査されていることが前提になります。

まあ普通にミックスしていれば、この後に空間系エフェクトの挿入、調整となりますから問題ないはずです。ミックスのうまくいかない理由の一つに早期の空間系処理を始めてしまうことが挙げられます。これはバランスが決まる前に奥行き感をつけようとすることで空間の広がりが他のインストを邪魔する形となり、余計にグシャグシャしてくることに気がつかない素人作業です。ですから本来のバランスがしっかりできあがる(8~9割程度)まで、パン、ボリューム、EQ、他のエフェクト込みで調整を済ますと、空間系がさりげなく効果的に掛けられます。

 

リバーブタイプの選択

音像を決めるファクターの最重要ポイントです。ほとんどのミックスはこのリバーブタイプの選択にかかっていると言っても過言ではありません。

まあ大体は通説通りで、ボーカルにはプレートやホール系、ギターにはあまり深くないルーム系や、アルペジオならホール系で残響出すとか、ドラムがライブ感ほしいなら、アンビエント系とかで良いと思います。

重要なのは曲全体の雰囲気で、インストごとに違うリバーブを多用してグチャグチャにならないことです。大まかに言って、リズム隊、上もの系、ボーカル、刻みもの、SEってところでしょうか?これらが全部違うリバーブはまずありえませんので、まずは同じ空間を作るベースとなるリバーブを決めます。

楽曲にもよりますが、広がりを作るならホール系でタイムは1.2~1.8msecくらいですが一般的です。これをSendで軽めに掛けていくと空間を統一しやすいです。また密度が濃く長めであればプレートがよいです。タイムが最大でも2.4msecほどで、Send量で決めるところは一緒です。

 

奥行き感はプリディレイがポイント

それらのリバーブは、大体スペックが上のものなら、プリディレイというパラメーターがあります。これは初期反射音と呼ばれるもので1発目の原音からどのくらいでリバーブが返るかという時間を決めるものです。

ですから初期反射音が近ければ、割と小さな空間を示し、遠ければ反射が遅くなるわけですから、広大な空間を醸し出します。またこの初期反射音が音質的にこもるような場合は、音が返る壁面がやわらかいとされ、シャッキと返る場合は堅い壁面とされます。

この初期反射音の近い/遠いと、柔らかい/堅いの特性をコントロールすることで、奥行き感を出します。

通常Send送りなどでリバーブを挿入する場合、dry=0、wet=100にしますが、sendで初期反射があると空間がグチャグチャになります。リバーブが返りながら常に他のインストの情報も入るので、一定間隔で返らないのが原因です。

奥行きを出したい場合にはインサートを使い、目的のインストに対して個別に掛けます。まずは、リバーブを掛けてみます。ソロで確認しても良いでしょう。たぶんデフォルト値だと普通にボワーンとかかるだけだと思います。

奥にひっこめるには、残響を多めに返し、実音をエフェクト音で包みます。つまりドライ音をエフェクト音より若干下げます。それと、ほんの少しだけ高音を落とすとリバーブが馴染んできます。さらに音源を遠くするのに空間系エフェクトをかける前に決めたボリュームから若干落とします。

これで引っ込んで聞こえるはずですが、引っ込まない場合はプリディレイを調整します。なるべく短くしてやると原音に対してすぐに反射がくるので(ボリュームを下げた分)こじんまりとした感じで、音像が引っ込むように(ぼやけるように)聞こえます。逆にプリディレイを離すと、原音がくっきりとしてきますので、奥にありながら存在感のあるパートになります。特に全体のリバーブに馴染むタイプやタイムの場合は、さらに原音がくっきりするので、奥行き感が薄らぐ場合があるので注意です。この辺のさじ加減がプロはうまいわけです。

あとは、BUS出しして、そこにインサート、ステレオ出しのエフェクト音だけパンを絞るのもありです。音像の定位を、より明確にすることができます。この場合はもう、ほんの少しボリュームを絞るとうまく引っ込みます。

 

引っ込んで聞こえない場合

ほとんどの場合はボリュームです。チャンネルストリップでの味付けが終わった時点より、リバーブを指したときにさらに下げなくては引っ込みません。そして聞こえなくては意味がないので、EQで調整したり、コンプ掛けたりするわけです。ですからストリップでの調整がうまくいってないことも要因の一つです。

もう一つはプリディレイの距離感です。離しすぎると原音が立ってくるので引っ込んで聞こえません。適度に離れるのが良いわけで、これは音源の音質やコンプなどでも変わるので一概に何msとは言えません。

そして問題は、これを読んだからといってすぐにできるものではないです。何度もトライアンドエラーでコツをつかまないと、この方法は(たぶん)伝わらないかもしれません。そのくらい微妙な設定です。特にプリディレイなど10数ミリ/secの差が聞き取れるかどうかというくらい、耳がものいいます。実はできているのに、聞き取れないというのが初心者にありがちです。

しかしプロもやっている技ですので必ず効果はあります。まあ、確認するにもある程度の音量は必要かもしれません。ヘッドホンにして20kHz以上が楽に出るハイクラスのヘッドホンがリバーブは聞きやすいんです。そうしたある程度の環境は必要です。このくらい整えればできるので、あとは慣れです。

 

もちろん仕上げは全体で確認

いわゆるソロで確認中はちゃんとできていても、オケ全体では効果がわからんという場合が多いのですが、効果はちゃんとあって、気持ち音量が小さいかな?と思うくらいが、一般的に引っ込んで聞こえます。つまり、この引っ込み感が奥行きを生み出すわけです。

注意点は、全体にシステムエフェクト的にかかるリバーブのエフェクト量です。これが深いと、混ざると言うより上書きしてしまうので、奥行きのリバーブがかき消されて、原音がただの小音量になるため、効果が聞こえないわけです。これがミックス初心者の陥りやすいところです。同じ系統の曲でプロのものと聞き比べてみてください。プロとの違いはリバーブ量にあると言っても過言ではありません。

 

20130506追記

リバーブの量ももちろんなんですが、先日書いた記事3つ(連続小説)を音源付きで具体的に紹介しています。Logicでの説明が多いのですが、特に3つの記事のうちの2つ目、ポストフェーダーとプリフェーダーについては、どんなDAWでも共通項です。

ご参考まで。

マニュアルにも書かれていないパンとSendトラックの使いこなし方1/3

マニュアルにも書かれていないパンとSendトラックの使いこなし方2/3

マニュアルにも書かれていないパンとSendトラックの使いこなし方3/3