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マスタリングでの音圧稼ぎ

2012年 06月 10日 02:10 | カテゴリー: DAW , Mix
2012年 06月 10日 02:10
DAW , Mix

マスタリングという言葉に勘違いをされている人がいるようなので、まずはマスタリングとは何かを説明します。

 

マスタリングって?

本来のマスタリングとは、CDの原盤を作るための処理を挿します。これはCDのプレス業者のみができる作業で、一般ユーザーにはできない作業です。ですから、CDプレス業者にCD-Rなどに焼いたマスター版を持ち込む場合、この版を「プリマスター版」といいます。ですから、ユーザー自身ができるCD用の処理は「プリマスタリング」と呼ばれるべき(というか、そう呼びます)なんです。

で、このプリマスタリングにはユーザーができるところは以下の感じです。

  1. 2ミックスされた音源(ここでは曲のこと)の最終音質、音量調整
  2. マスタリングソフトを使っての曲順決定(要は曲の並び順を決める)
  3. 並んだ全曲(CD1枚分)に対しての最終音質、音量調整と曲間の処理
  4. PQコード打ち
  5. プリマスター版への焼き込み

最近はユーザー自身で全部できるようになってしまいましたが、問題は4)のPQコード打ちです。基本的には、曲の始まりと曲の終わりを示すマーキングをするモノです。これを元にトラックを表示するコードができあがります。それにプラス、正規の販売用CDにはISRCコードと呼ばれる国際標準レコーディングコード(International Standard Recording Code)を打ち込みます。ISRCはそれ1枚だけの固有のコードを発行する国際団体があり、登録制ですから個人で発行することができません。ですので、一般流通で販売されるCDは個人で作る事ができないわけです。他にも、CD TEXTなどの打ち込みもPQコード打ちに含まれるような言い方をする場合もあります。

PQコードそれ自体は、マーキングですのでそれをリスト化してプリマスター版と一緒にCDプレス屋さんに出せばいいので、最近はこのリストをプリントできるようになっているマスタリングソフトも増えています。

で、プリマスター版とPQリストをもらったCDプレス屋さんは、曲順や曲の確認、PQコードの確認をし、ISRCコードを発行してもらい、最終的にCDプレス用のマスター版にします。そしてこれを元に増産して、CDができあがるわけです。

結構ラフに書きましたが、ユーザーができるレベルがあくまでも「プリ(直前)」である理由がおわかりいただけたと思います。

 

マスタリングでの音圧調整

さて、上記で上げたようにマスタリング調整は、マスタリングソフトであれば1)~3)がまとめてできます。まあDAWでも手順が増えるだけでできなくはない(PQコードだけはできないけど)ので、PQコードごとプレス屋さんに任すという手もあります(この場合はまさに「プリ」です)。

ここから先は、前述のように「プリ」を省いて説明していきます。
 

リミッター登場

ギターのエフェクターとしてはなかなか使いどころがないリミッターも、マスタリングでは大活躍です。なんと言ってもデジタルですから、歪ませるわけにはいかないので、完全に音量を0dBに抑えなくてはなりません。

従って、マスタートラック上には必ずリミッターを挿入します。最近では他のCDと差別化するための「音圧競争」になっているため、0dBが標準的になってきていますが、ちゃんとした(失礼)アーティストのCDでは、今でも-3dBというのは定番です。

それとここでは、ちょっと2ミックスの場合に戻ります(つまり上記で言う1)です)。マスタリングソフトではいっぺんにできてしまうわけですが、2ミックスの場合を想定して話をしておくと後は応用だからです。どちらも慣れは必要ですけど...。

ということで、ミックスダウンによる2ミックス化は、単なるバウンスでは終わりません。書き出しを低速(曲のテンポによる再生をしながら)でやった方が良い(バウンスだけなら高速で終わらせるソフトがありますので)のはもちろん、できるならアナライザーを見ながら変な帯域がないかなどの入念なチェックは必要です。

そして、先のようにマスタートラックには最終段にリミッターが必須で、後はこのリミッターでつぶすか、直前にもう一度コンプをかますかが悩みどころです。前者の場合、闇雲につぶれますので、抑揚もへったくれもなく、とにかくつぶれます。そして歪み感が増します。ですので、私のお勧めは調整は難しいのですが、やはりマルチバンドコンプを直前にかまして、ゲインリダクションを掛けることをお勧めします。というか、これが普通です。

ゲインリダクションの設定により、軽くリミッターに触れる程度になっていれば聞きやすく、全体的にリミッターに触れるようになれば、音圧はかなり上がります。もちろんリミッターを0dBにしているなら、より効果は上がります。
 

アルバムでは...

こうして仕上げられた1曲を、今度は複数の曲でやらなくてはなりません。そうすることで、アルバムの統一感が生まれます。残念な例は、ベストアルバムの形でよくあります。聞いていて、曲ごとにレベルが変わる奴ですね。これはレコード会社が、前回のマスタリング、つまり1曲上でのマスタリングが済んでいるので、それぞれをただ並べただけというお粗末なモノです。いくらマスタリングが済んでいても、録音した時期やエンジニアの違いなどで、音質感、音量感は様々です。ベスト盤などでは、そこを精査する意味で、再マスタリングが必要です。これをやらないアルバムを販売するのは、レコード会社の手抜きです。こうしたアルバムを聴くのは予算の関係もあるのでしょうが、一流のアーティストモノは皆無ですので、何とかして欲しいモノです。

ということで、かなりレベルが高くマスタリングされた曲を並べるなら、全体の音質調整に、最終段にリミッターだけで済むと思います。しかし、やはりアルバムの中では、盛り上がる曲もバラードもあるでしょうから、ある程度のコンプは必要でしょう。さらには曲全体のイメージをシングル盤と同様に仕上げなくてはならないので、極端に掛けることはできません。が、やはり全体のアルバム感を損なわないために、マルチバンドコンプで細かく、微細な調整が必要ですので、ここがプロとの腕と耳の差となるわけです。

そして、前述のようにマスタリングソフトでは、まとめてできます。ですから、DAWソフトだけでなく覚えても良いソフトかも知れません。ただ音圧稼ぎであれば、DAW上で大半ができます。最後の書き出しである2ミックスまで持って行くのに、2ミックスを書き出し、その2ミックスを再度調整してみてもいいです。1発書き出して終わりではないことも覚えておきましょう。