録音

抜ける音の音作り ーレコーディング用の音作りー

2012年 04月 10日 20:40 | カテゴリー: 録音
2012年 04月 10日 20:40
録音

前記事「堅い音と抜ける音の違い」からの続きです。

 

レコーディングはさらに別物ですが...

ことレコーディングになると、またもや別の解釈が必要です。レコーディングではさらに2つの音作りに大別されます。

  • アンプをマイクで拾う従来型の録音
  • アンプシミュレーターなどを使う、Line録音

です。
 

アンプをマイクで拾う従来型の録音

えと、この考え方は「抜ける音の音作り ーPAが絡む音作りー」と、マイクから卓への入力まではほぼ同じです。何が違うかというと、卓に入ってからの処理とレコーダーの種別です。

卓に入ってからのPAと違うところは録音用に音を精査、作り込みがあるところで、まあアナログ卓とデジタル卓という差はあまりない(ないわけではないのですが)ように思います。実際はいったんストレートに色づけなくレコーダーに録音してから、ミックスの段階で大きく変わります。また、ストレートに色づけなくとは言っても録音前(または録音時)に行われる調整(コンプによるレベル調整、マイクプリなどによる音質調整など)によっても、少々音質は変化します。

そしてレコーダーに録音されるところで、ほぼ決定づけられます。そのレコーダーがアナログテープ(今やテープなんて廃れてますが)、デジタルテープ、HDDなどなど、まあアナログテープはなしとしても、ことはデジタル、つまり録音時に設定されたサンプリング周波数によって音質は決められます。さらに他のインストとも混ぜ合うミックスによってギターの音質は大きく変わります。

そこで今回の「抜ける音」というのがキモになってきます。先の記事「堅い音と抜ける音の違い」で書いた「抜ける音」の定義は、音量に関係なく、他のインストと混じっても区別がつき、存在感がはっきりしている音でした。存在感があると言うことは、芯がちゃんとあると言うことなので、ギターらしい音、中域あたりが一番重要なんです。ただでさえギターアンプは割とドンシャリに設計されているので、中域で芯を出し、ギターアンプの出音としてフラット目に仕上げておくことが、あとのミックスにとってどうにでもいじれる音になります。しかもどういじってもギターらしさは失われない音です。

「抜ける音の音作り ーPAが絡む音作りー」で、Shure SM57の特性について書きましたが、まさにここを狙うようにすると良いでしょう。ですから、基本的にはこの音がそのまま録音されるよう、録音エンジニアに色づけのないように録りをお願いするのがよいでしょう。

抜ける音で作っておけば、堅さを作る事は簡単です。また、SM57の特性通りに録れていれば、他のインストともかぶらないような音作りも可能です。

注意点は、高域です。レコーダーのサンプリング周波数によって聞こえ方が変わってきます。ご自身で録音やっている方ならわかると思いますが、16bit/44.1kHz(CDと同じ)の音と、24bit/96kHz(DVDオーディオなど)の音では、聞こえる印象が違います。ハイサンプリングであるほど、音が堅いと感じたり、細いとか、繊細と感じることがほとんどのはずです。

なので、ハイサンプリングになるほど、マイクでのアンプ録音には、「抜ける音」に「太さ」を加えると良いでしょう。言ってみればFender系の音より、マーシャルのような太さ、つまり中低域です。アンプではちょうどBassとMiddleの間くらいですが、ここはBassの設定カーブに頼って上げるしかないです。300Hz~5、600Hzくらいが良い感じです。録音時ですからマイクプリで補うのも手です。
 

アンプシミュレーターなどを使う、Line録音

言い方は悪いのですが、抜けもくそもないのがこのライン録音です。物理的な電気信号は全て録音していまいます。だから抜けがなくとも、とにかく録音できてしまうやっかいな方法です。と言っては身も蓋もないので、ちゃんと説明しましょう。

まず初心者に多い間違いが、CDの音を参考に作った音がよい音と思って録音しても、結果、曲に落とし込んでミックスしてもうまくいかないことでしょう。特にアンプシミュレーターのような便利な小物を使うと意外とうまくできてしまうので、陥りやすい罠ですよね。

私がSound Makingのデモソングで録るときにUSBドライバーを16bit/44.1kHzにする理由はここにありまして、24bit/48kHzにはしませんし、オーディオI/F経由で96kHzでは録らないです。まあ、荒さが欲しいというか、太さが欲しいというか、Rockのときは間違いなく16bit/44.1kHzです。

ハイサンプリングはいわゆる空気感、実音以上の音が録れます。特にミックス上ではリバーブの密度が変わります。もちろん、ハイ上がりであるが故に音質的には硬質、堅いわけです。考え方はそれぞれですが、96kHzの場合、可聴帯域内(20kHz)に納めるには、約半分に押し込めるという表現にします。つまり、可聴帯域20kHzを保つためにサンプリング周波数は倍の44.1kHzが必要で、96kHzはその約2倍にあたるので、逆な言い方で「約半分に押し込める」と言いました。

96kHzが約半分と言うことは、その中の実音も半分と言うことで(圧縮というと語弊がありますが)これが実音が繊細になる理由です。まあ、正確な音響学的には無茶言ってるかも知れませんが、イメージでこんな感じです。

で、結局CDやMP3作成時には16bit/44.1kHzに落とすわけですから、だったら最初から圧縮することもなくストレートな方が音は太いと(私は)考えます。DAW側が混在できるなら、オケは88.2kHz、ギターは44.1kHzで録りますし、DAWが混在できず、ハイサンプリングならUSBで録らないで、オーディオI/F経由で、Pod X3のアナログOutputから録ります。

それでも可聴帯域20kHzで録るのは、堅い音であることこの上ないので、抜ける音を作るには少しハイ落ちにするか、Pod X3のようなレコーディングシミュレーターなら、アンプモデルの後ろにあるEQで音を作ります。もちろん基本の音はアンプモデルで作るので、これを実物アンプに見立ててTrebleやPresenceをあまり上げずに、EQで抜けを作って良いでしょう。ですから意外とアンプモデルは自由度が高くできているので大体どんな音でも抜けよく作ってくれます。それだけにギターの芯の音、500Hz前後~800Hzくらいはしっかり出さないと細く聞こえるので、やっぱりMiddleは上げる必要があります。そして、少々ハイを落としてあると、ミックス時に扱いやすい音になります。

また、PodじゃなくてもEQ使うと言うことならDAW上でかけても同じですので、他のパートのバランスを聞きながら調整するのもありです。このときはインプット直後にギター音調整用のEQを置いて、他のエフェクト処理後にもう一発EQ入れて補正すると言った掛け方です。

まあ、Lineの場合結構ハイを落としても元が最低44.1kHz以上であることで、可聴帯域20kHzはカバーされるので、抜けがないわけではありません。ですからLine録音でのポイントは、「抜けを持った太い音」であるので、ミックス時に他のパートとかぶらない高域作りをブレンドすると、いい音で録れます。

ちなみにこうしてできた音は、たとえばCDと併せて練習するような場面でも、意外と似た音質(でも、音源とはちゃんと区別のつく)に感じて、弾きやすくなる傾向があります。

 

さて、今回の絡んだ記事である

・抜ける音の音作り ーアンプによる音作りー

・抜ける音の音作り ーPAが絡む音作りー

の、こちらもよろしくです。