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ギタリストが作った曲は素人臭いので、そこから脱却する方法

2012年 02月 03日 03:01 | カテゴリー: Mix
2012年 02月 03日 03:01
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最近地下アイドルのコンテンツプロデュースなんてやっているもので、彼女たちの本格的な歌もの、もちろんプロの作曲家が作った曲を聴いています。でも、すぐにわかるんですよ。ギタリストの書いた曲だなって。

簡単なことで、ミックス聞くとギターがでかいんですよ、音量が。そしてバッキングもソロも同じ音質でやってしまう。これってプロとしてどうよ?と思ってしまうわけです。私は基本的に歌ものならば、歌を邪魔しちゃいけないバックを心がけています。スタジオミュージシャンなら当たり前のことですし、ロックだろうが、メタルだろうが、ポップスだろうが、歌謡曲だろうが、歌詞があるならそれをメッセージとして伝える、そしてそれをメロディーに乗せる歌い手さんの歌がメインになるはずなんです。

本当にうまいギタリストなら歌の邪魔にはならないミックスをエンジニアに頼みます。要は曲を客観的に聴ける人にミックスをゆだねるわけです。

ところがギタリストが作った曲では、そのギタリストがプロデューサーになりますから、つい自分の楽器を聞かせたがるんですね。だからボーカルに張り合うほどの音量になることも珍しくありません。しかも音作りも割と硬質な音を好みますので、ボーカルとぶつかることは避けられません。こうしたミックスはメジャーレーベルでは微妙な加減でクリアされている場合が多いのです。

 

パートとしてのギターの役割

いわゆる「壁」と言われるような厚みを出すとか、ドライブ感をだすとか、ロック系の歪んだギターならこんなイメージがありますね。曲の雰囲気を決めてしまうくらいのインパクトがあるサウンドです。

ちょっと難しいのは、シンセなどの鍵盤系、いわゆる上物との絡みです。リフを弾くならシンセとの音色に気をつければかぶることはないです。ですがリズムリフ、たとえばパワーコードで8分刻みのミュートに1拍半ごとで解放を入れる(ミュートしない)ようなアクセント付きのリフだと、シンセとリズムがもろかぶりではギターのある意味ないし、音質が硬質だとシンセとかぶります。ちゃんとした裏メロやオブリガートなんかも入ってアレンジされているにもかかわらず、ギターがうるさいと曲を台無しにしてしまいます。

ですからミックスとアレンジは重要で、ギターをうるさくしては曲を曲として聴かすよりギターだけのイメージになってしまうことがままあります。まあ、それがSmoke on the waterとかBurnとか(Deep Purple)、Jumpとか(Van Halen)のように、リフがちゃんとフレーズ化しているなら音量に注意しながらギターを前面に出しても良いでしょう。

 

フレーズとバランス

どちらもアレンジと言ってしまえばそれまでですが、メインのメロディーにどう絡んでいるかでミックス具合が変わります。

これが当然のはずなんですが、ギタリストが曲を作りミックスすると極限(それ以上)までギターを上げたがります。まあ、バンドで録音すると誰もがそうなりますが、最近のように打ち込みメインでギターを生という場合に、特にそうなりがちです。これに気づいてそこから脱すると一段とミックスの腕が上がりますし、曲がプロっぽくなってきます。はっきり言ってギターがでかいと素人臭いんです。たとえプロでもこんなものか...と思ってしまいます。

他のインストもかき消すし、低音というか、箱鳴り感だそうとしてベースすらかき消してしまう。それじゃだめなんです。さらによく聞くとギターがかき消してわからなかった鍵盤類のバッキングとリズムがかぶっている。これじゃ素人丸出しです。

ギタリストがミックスのバランスをうまく身につけるには、自分のギター音が小さいと思うまで下げることがポイントです。最初は抵抗あるんですが、これ覚えるとどこで何を目立たせるかと言うメリハリが出てきます。落ち着いて聞くと他のインストとのリズムかぶりや、アレンジの方向性が見え始めてきます。

余談ですが、一昔前の歌謡曲がTVで流れていた頃は、歌い手さんのうまさもさることながら、歌を100%の音量とするなら、バックは50%でよいというほどバックの音量って小さかったものです。ですから主旋律であるフレーズ、歌メロやギターソロなどで出るところは出る、引くところは引くということを覚えると、実はエフェクトのかけ具合も変わってきてミックスが格段に変わります。

 

エンジニアとしての耳を鍛える

不思議なことに他人の曲をミックスするときは、自然とバランスが良く仕上げることが可能です。しかし自分で作った曲を自分でミックスすると前述の通りです。

なので気持ちはわかりますが、自分の曲をミックスするときには心を鬼にしましょう(笑)。エンジニアの耳ができてくると、練習でもより他のパートを聞くことができ、バンドのバランスも見えてきます。

ポイントはこんな感じです。

  • ミックスが80%程仕上がった時点で、自分の担当のインストを消してみる(音量を0にする)。3ピースなどのバンドでは無理かと思いきや、意外とどんな形態の曲でも効果的です。自分のインストがなくなっていても曲が成り立っているか、リズムがぶつかっていないかなどを聞き定めます。その後に徐々に加えて他と同じようなバランスを取ると、スムーズに決まりやすいです。
  • 100%に近づいてきたところで「自分の音はでかい」と決めてかかって、絞る方向で調整すること。
  • 特にギターの場合は、音質を見直します。まあ、録音前からやらなければならないことですが、基本は自分がよいと思っている音質の高域を落とします。気持ち甘いと感じるくらいが耳障りにはならずに、しかもミックス時に気に入った音質に仕上げやすいです。しかも一番ぶつかりやすいボーカルとはっきりと差が出せます。
  • Pod X3のようなアンプシミュレーターを使う場合、ステレオ出力にするのではなく、トーンの違うアンプをチャンネル別にセレクトして2台の音色を同録する。よく、ミックス上で波形をコピーして数ms程ずらすステレオ効果なんてやりますが、それやるくらいなら2音色録ってそれぞれにやった方がギターの壁には効果的。
  • ギターソロの音質も少々自分では甘いと思うくらいで録音しておいた方が、音量は上げやすいです。で、抜けはDAW上で作った方が存在感増します。当然ソロの録音はモノラルで録ります。
  • 自分の好きな曲を深く聴きまくること。ミックスのバランスはもちろん、エフェクトのかけ具合や、パンの処理、音圧処理など聞き込むほどに見えてきます。細かいところまでも聞き逃さない、またはしつこく聞いてやっとわかる程度の処理も、見えてくると自分の武器になります。そしてそれを再現できるように試行錯誤すること。

エンジニアの耳が出てきて、はじめてプロデューサーの役目が果たせるというわけです。どこで何を聞かせるか、誰の曲なのかを考えながらミックスの腕を上げましょう。