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「Pray」のパート別ミックス技 ―ドラム編―

2011年 09月 15日 04:16 | カテゴリー: Mix
2011年 09月 15日 04:16
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概要をご理解いただいたところで、ミックスの実際を説明します。

原曲が存在するので、基本的には同じ、またはそれに似た音の選択や処理をしています。コレはどのパートも一緒です。ただし、厳密に細かくまではやっていません。省略しているところもあります。今回はオーディオトラックでの全パートで16トラック(ステレオを考えると倍ですが)に納めています。

エフェクトテクニックやミックステクを結構使っていますので、それらをご紹介したいと思います。これらの技はオリジナル曲でもコピーでも、プロもよく使う技もあれば、積極的な音作りのアイデアもありますので、どんなミックスでも使えると思います。

 

ドラムパートの概要

All-Mixer.jpg

図を見てわかるように、5トラック構成で、ベードラ、スネア、ハイハット(シンバル、タム含む)、イントロ用ハイハット、リバースシンバルです。ハイハットのトラックは当初シンバル、タムと分けていたのですが、使用したソフト音源(Superior Drummer)で、事が済んだのでステレオ出力にしてまとめました。と言ってもリージョンは分かれていて、同じトラックに移動しただけです。

音源はバラバラで、

  • ベードラ=Sample Tank
  • スネア=EXS24(Logic内蔵)
  • ハット、シンバル、タム=Superior Drummer
  • イントロ用ハット、リバースシンバル=R-8M(外部MIDI音源)

を使用しています。

エフェクトについては各インストで説明しましょう。
 

ベードラ

bdr_comp.jpg

もちろんモノで良かったのですが、Sample Tankを使ったので、他のインストも使えるかとステレオ設定にしたのが、結局使えずにそのまま残ってしまいました。制作概要で説明したように、ステレオでは音量が上がらなかったので、コンプで音量を稼いでいます。

少々強めのRatio(4.6:1)にThresholdが-24dBとかなり低いところからかかるようにして、さらにReleaseを長くして、常にかかりっぱなし状態にしています。これは曲が完全な4つ打ちではなく音符の間隔が長いところもあるので一定に保ちたいからです。コレを歪まさないようにLimiterで若干下げて-2.1dBにしています。
 

スネア

Snere-EQ.jpg

意外といい音色がなくて選ぶのに苦労しました。Batteryにはいい音色があったんです。で、EXSを使ったのですが、なんかLogic内蔵の音色(Ultra Beatなどのサンプル系含む)って妙にこもっていて抜けが悪いんです。他メーカーの音色(サンプル)の方が遙かに抜けがよいです。Batteryの音色読んでも良かったのですが、変換などが面倒なのでやめました。

なので、ソフト音源トラック上ではコピー段階なので極端にいじってはいませんが、オーディオトラックではEQカーブが大きく変わっています。抜けを良くするために3.5kHzあたりから上をブーストしていますが、2kHzあたりにディップを作っています。これはヘッドのアタックがボーカルとかぶるところなので少し抜いています。

変わり種は、次のEnVerb(Logic内蔵のReverb)です。最終段にコンプが入っているので、EQ含め順番が通常ではあり得ない並び方です。もちろん意図的なんですが、考え方として、1)基本的な音色を作り、2)その音にゲートリバーブをかけています。3)ゲートリバーブが派手なのにベロシティによって変化するので、リバーブを引っ張り上げるようにコンプをExpander的に使っています。
 

ハイハット、シンバル、タム

最近流行のドラム音源(今回のSuperior Drummerや、BFD、Addictive Drumなど)はマイクアンビエンスなども含めて、ライブ的なイメージでドラムセットが組まれています。なので、セットものではこうした音源は1発で決まります。かえってBatteryのようなサンプル組み替え系のドラム音源では、好きな音色でセットを組むと音の統一性が難しいです。

Superior DrummerはEZ Drummerの上位バージョンで、タムとシンバルが豊富なので助かります。なので、EQ補正も至って普通で100Hz付近を気持ち上げてそれ以下はカット、ハットを強調するのに6~7kHzを気持ち上げ、ボーカルとかぶる1.2~2kHzあたりを気持ち下げです。

コンプも軽めで、レベラーとして使用しています。接続順がEQと逆なのは、金物とタムの周波数と音量が離れすぎているので最初は使っていなかったのですが、全体のバランス時に気持ちおさえたかったので使っただけです。作り込むならマルチバンドコンプで、低域(タム)と高域(ハット、シンバル)のかかり具合を調整した方がよいでしょう。
 

イントロ用ハイハット

原曲はパーカス系の金物でしたが、ハットで代用しました。なので聞くとわかりますが、左右に分かれながら、さらにディレイで味付けされています。こうなるとBatteryなどの個別セルがあるとやりやすかったのですが、それが使えないので、ハード音源を使用しました。

手持ちのR-8Mには、昔組んだ差し替え用セットが用意してあって、MIDIノートを変えるだけでハットがいくつも左右で定位を変えて鳴るように組んでいます。コレにステレオディレイで広がりを作っています。

Logicのステレオディレイは普通のストレートとクロスディレイが同時に設定可能なので、クロスをやや薄めにして臨場感を作っています。コンプも控えめです。
 

リバースシンバル

これもBatteryなら一発だったのにライブセット系のドラム音源では、少々設定を変えないとできないので外部音源を使用しています。原曲は、リバースシンバルにライドのマレットによるロールみたいな音がかぶっています。そこはディレイタイムを短くしてFeedbackを上げて長めにすることで代用しました。

イントロ用ハットもそうですが、なぜかExternal Instrumentプラグインを使うとトラックミュートが効かないという現象がありました。いくらMIDIでもトラックミュートでデータが出なくなるようになるはずなんですが、リージョンでミュートしない限り鳴っていました。

(ルーティングがはっきりしないので)たぶんソフト音源トラックって、I/Oと言うところだからInsertsよりも前に入って、出力はI/Oに設定されたOut(ここではStereo Out)にストレートに流れるのと、Insertsに流れるルートがあるのではないかと思います。ミュートスイッチはポストフェーダーにかかるからデータだだ漏れ状態になるのではないでしょうか?外部音源にもエフェクトが効く仕様だからそう考えるのが妥当でしょう。

 

ドラムのまとめ技

Aux_Reverb_waku.jpg

これらバラバラのインストを同じ空気感を持たせるのに良くやる方法です。プロでも普通に使う技です。全オーディオトラック上にBus1へのSendがあります。このSendはAUX1トラック(I/O入力がBus1に指定されている)に流れます。

AUX1トラックでは、Space Designer(Logic内蔵の高品位リバーブ)をかけています。イントロがピアノとギターとパーカスなので、長いHall系でリリースをストンと落ちるように短くしています。コレにより、空気感が保たれながら、次にくるフレーズに影響を与えないように薄くリターンさせています。

AUXトラックでまとめる場合には、図の赤枠のようにリバーブのDry音を0に、Rev音(Wet音)をMaxにする必要があります。こうすることで、エフェクト音のみをAUXトラックのフェーダーで調整できるので、微調整が可能になります。あとは、オーディオトラックのドラムのバランスを見ながら調整すると、同じ空気感でまとまりが出てきます。