録音

「Pray」の制作概要 その3

2011年 09月 14日 02:38 | カテゴリー: DAW , 録音 , Mix
2011年 09月 14日 02:38
DAW , 録音 , Mix

だんだん連続小説化してきていますが、もう少々おつきあいください。

 

バランス調整

一通り打ち込み終わったらバランス調整をします。今回はほとんど全てがソフトウェア音源になりましたので、エフェクトも含めてバランス調整ができます。

そしてこの曲は歌モノですから、バランスを取る際にはボーカルデータ(ボカロで書き出したWAV)を読み込んでおきます。なぜならボーカルがメインですので、このトラックを最大音量として、他トラックの音量、パン、エフェクトなどを調整します。

本来(昔は...というべきか)はMIDIデータのトラックを全てオーディオ化した後でバランス調整するモノですが、先に述べたようにLogicではダイレクトにソフト音源を調整できるので、先にバランス調整ができます。MIDIデータでベロシティを変更してしまうと音色変化があるので、コレはありがたいです。加えてエフェクトも追い込みます。ソフト音源トラックではリージョンをオーディオ化するのはコマンドで一発ですし、エフェクト込みでも、なしでも出力できるようになりました。

ですから、ソフト音源トラック上でエフェクトの設定を済ませておけば、書き出したオーディオトラック上にはエフェクトをそのままコピーすれば良いだけです。これもCPUパワーにもよりますが、さすがにCore i7の仮想8コアです。最終ミックスでもフリーズも使わず、エフェクトもダブルで読み込ませても(ソフト音源用とオーディオトラック用)、全コアで30%に届かないくらいです。ソフト音源トラック10トラック(しかもエフェクトはかけられない状態)で動かなくなったPower Mac G5とは桁が違います。このくらい動きが良いと曲作りも楽ですね。

 

各トラックのオーディオ書き出し

ドラムの各パーツのようにトラック上に1つのリージョンでは、直接オーディオファイルを書き出しします。書き出しは後でさらなる調整ができるようにエフェクトはオフで書き出します。リージョンの書き出しでは、ソフト音源のリージョンと同じ長さになりますので、スタートポイントを同じ場所に置くことができます。

1トラックに複数のリージョンがある場合はトラック丸ごと書き出しです。ただしこの場合はファイルのスタートが1小節目からになりますので、置き場所のスタートポイントを間違えないようにしてください。今回は、頭からギターが入るので、カウントを入れました。メトロノームではやりにくかったので2小節分用意しましたが、ここに合わせないとデータがずれていることになります。

書き出しが終わったら、ソフト音源トラックで使用したエフェクトやパンなどをトラックごとに全てコピーすると、ほぼバランスが取れた状態で聞くことができます。

 

ギターの録音

先にオケのバランスはソフト音源トラック側でできているので、フェーダーやパン、エフェクトなどをほぼ同様のセッティングとしてコピーしてバランスを取ります。その上で、ギターの録音をはじめましょう。

ここでオーディオI/F(ドライバー)をPod X3に切り換えます。いままで使用しているオーディオI/Fからモニターしている場合には音が出なくなりますので、注意が必要です。特にヘッドホンの場合はPod X3に差し変えないとモニターできません。私はこの煩雑さを防ぐためにCPU、外部音源、オーディオなどの最終出力をまとめるミキサーを使ってモニターしています。

プログラムは既にできてます(「Pod X3で「Pray」の音作り」参照)から、選ぶだけです。後はモニター用ミキサーでバランスを取って録音開始です。

 

最終ミックス

全てのトラックがオーディオ素材で用意できれば、最終ミックスに入ります。オーディの各素材はノーマライズしておくことでノイズには強くなりますが、少々ボリュームバランスが変わりますので、音量調整はもちろん、エフェクトのバランスも変わります。また、ギターに改めてエフェクト処理をしていきます。ギターの音像が決まったら、ギターを含めた各トラックのバランス、エフェクトの見直しなどを行います。

OKが出たところで、DAW上のマスターアウトトラックでマルチバンドコンプによる、全体の調整をします。ポイントはアナライザーを用意すること。コレも以前「DAWでの録音に関する前知識 最後はマスタリング」でご紹介したBlue Cat AudioのFreqAnalist(フリーソフトです)が秀逸です。Logicにもありますが、それよりも使いやすくわかりやすいです。

画面の下にあるEnvelopeのPeak Resetを0db/sにして、CDリッピングトラックだけを再生し、作成したイントロ部の長さ分だけ再生します。するとPeakレベルがロックされるので、コレを目安に、ミックス全体の周波数を見ながらマルチコンプを調整していきます。Logicにはマルチコンプの秀逸なプリセット(マルチコンプに限らず、です)がありますので、その中で、Final Masteringに最適なモノを選択します。なければ、最大バンド数の4バンドを選び、最初にLimiterで-0.5dBに設定(これでどんなに上げても0dBを超えることはなくなります)し、後はアナライザーを見ながら各バンド幅とレベルを設定していきます。

おおよそ全体のレベルがCDと似たカーブを描くように設定すると、マスタリングが楽になります。ですから、このFinalミックスではきつめのリミッティングは避けて、レベルオーバーを防ぐリミッティングと各バンドのレベルを合わせる程度の深さのコンプにしておきます。

さらにLogicには「Match EQ」というのがあります。元ソースの周波数を読み込んで自動的に補正カーブを生成して、EQカーブに反映するというモノです。ただこれはあくまでもEQですので、本来はこの前段で音量や音質を整えておかないと意図しないEQが反映されます。本来はマルチコンプの後にやってもいい加工ですが、思ったよりいい音圧、だいぶ原曲に近い特性が出ていたのでEQ補正はしていません。

 

さて、お次は各パートのミックス技をご紹介します。