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Logic Pro 8(以降)のステレオトラックのパン調整

2011年 04月 10日 02:02 | カテゴリー: DAW , Mix
2011年 04月 10日 02:02
DAW , Mix

前記事 で、簡単に説明をしようと思いきや、自分が今まで長いこと使っていたPro 7と仕様が変更され、簡単に説明できなくなったので、改めて記事にしてみようと思います。

 

Logicのステレオトラックのパンは、パンではありません

Pro 7までは、最初にモノトラックかステレオトラックかを選択して対応したファイルを読み込みます。モノトラックにステレオファイルを読むとそのトラックはステレオに自動変更されます。これ自体はPro 8も変わりません。

ステレオファイルが読み込まれると、パンはパンでなくなりバランスになります。バランスとは、センターの時点で左右のボリュームが5:5になり、最大の広がり感が出ます。で、バランスを振っていくと、振った方向の逆側のボリュームが減っていきます。ですから左に振ると、5:4、5:3と減っていき、振り切ると5:0になります。つまり片チャンネルは常に出ているわけで、定位が動くわけではありません。

ミックス時に音がうまく混じらないとしたら、これが原因であることが多いです。シンセパッドなどはステレオファイルでもセンターでよいとしても、先の記事のようにピアノがステレオ音源で、フレーズによって定位が勝手に動いたら(高域のフレーズは右に寄るので、かけ上がりのようなフレーズでは徐々に右に動くことになります)、それはミックスがしづらいことこの上ありません。

 

そこでステレオファイルを分離する

interleave_sprit.jpg

ステレオファイルは、基本的にインターリーブと呼ばれる属性を持ったファイルです。これはステレオの左右をシンクロさせるための同期情報が内包されているファイルです。これに対して左右を分離させたファイルをスプリットファイルと呼びます。Pro 7ではこのスプリットファイルの扱い方が、完全に分離しているファイルとして認識していました。しかし、Pro 8からはシンクロ属性を残したスプリットファイルとして扱われ、言ってみれば不完全、いや正確な情報を持ったスプリットステレオファイルとなりました。

これにより、ステレオファイルのパンを調整する際に、余計な手間が増えるわけです。まあ、最初のインターリーブをスプリットにすること自体は変更がありません(参考:図1)。一度ファイルを読んでリージョン化して、リージョンを別名保存で保存するときに、スプリットに変更して別ファイルにします。

 

属性を無くして完全に切り離す

sprit_reset.jpg

スプリットファイルが別名保存されると、デフォルトでは同じファイル名に「L」と「R」がついて2つのファイルが書き出されます(参考:図2)。この状態で、まだステレオ情報が残っているので、完全に切り離すためにコマンドを実行します。

Logicのオーディオファイルを管理するオーディオビンウィンドウに、先ほどのスプリットファイルが確認できます。

  1. このスプリットファイルを選択します。
  2. オーディオビンの「編集」メニューより、「選択したスプリット・ステレオ・ファイルの接続を解除」を実行します。
  3. これで完全に分離したスプリットファイルができあがります。
  4. オーディオトラックを作成します。このとき、モノを選択し、2トラック分作ります。
  5. それぞれのトラックに、オーディオビンウィンドウよりLファイルとRファイルをドラッグ&ドロップし、パンを振り分けて任意の広がりを作ります。

 

トラック上での確認

compare.jpg

完全なスプリットファイルかどうかは、リージョンの上に表示されるリンクマークで確認されます。リージョンの名前が表示される後ろ側に○が2つ重なっているのがインターリーブステレオです(図3の上側のトラック上に表示されています)。一方、スプリットファイルはトラック3/4上のリージョンで○が1つになっています。

ミキサー画面を見てみましょう。

一番左のトラック1はモノトラックとして作成しました。試しにLまたはRのスプリットを読ませてみたのですが、自動的にインターリーブファイルに変換され、ステレオトラックに変更されます。ミキサー上で、○が2つついたレベルメーターの下のボタンを押すと、ステレオで表示されていたメーターがモノラルの1本になり、モノでのモニタリングが可能になります。これが図のトラック1の状態なのですが、モノモニタリングなので、ちゃんと定位が振れてパンになります。

トラック2は元々ステレオとして作成したトラックにインターリーブファイルを読ませたものです。図ではバランスを振って確かめていたところです。聞こえ方は先に書いたバランスの通りです。

トラック3/4は完全に分かれたスプリットファイル「L」「R」を、それぞれのトラックに読ませたものです。左右を完全に振り切れば、トラック2のステレオインターリーブと聞こえ方は変わりません。しかし、どちらのトラックもパンで定位を自在に変更できるため、広がり感の調整が利きます。軽く広がりを持たせながら、右側に寄せると言うことも可能です。

 

補足

universal_track_mxer.jpg

ちなみにLogicには、旧バージョン(確かVer5.5くらいまで)と互換性を持たせる、ユニバーサルトラックモードというのがあります。これは、通常はオンになっており、トラックをステレオ化するモードです。これをオフにしてステレオファイルを読むと、ミキサー上で2本並んだトラック(奇数と偶数のトラック)の片チャンネル(偶数トラック)が使用できずに、もう片方(奇数トラック)でステレオコントロールになります。このときに、ステレオファイルを奇数トラックに置くと、偶数トラックが連動してモニタリングできます。

しかもこのときに、ミキサー上で奇数トラックと偶数トラックをリンクさせるかどうかを選択でき、リンクさせると上記のように1トラック上にステレオが乗るバランスコントロール、リンクしないとL&Rがパンとして働き、広がり感の調節が可能になります。

Universal_track_mode.jpg

偶数トラックにリージョンがないのにステレオが鳴るのは気持ち悪い方のために、ここでもインターリーブファイルをスプリットで書き出しドラッグ&ドロップすると、今度はリンクマークの○が2つに分かれたリージョン(インターリーブでは○が2つ重なっている)でLRに配置することもできます。

ここではスプリットファイルであるものの、属性は残っていますよと言うスプリット・ステレオ・ファイルのマークが確認できます。

ユニバーサルトラックモードの切り換えは、メニューより「Logic Pro」→「環境設定」→「オーディオ」のダイアログ内にあります。