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DAWでの録音に関する前知識 レイテンシーについて

2011年 02月 28日 00:39 | カテゴリー: DAW
2011年 02月 28日 00:39
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レイテンシーとは?

絶対につきまとう問題が「レイテンシー」です。どんなに高性能なCPUでもインターフェース次第ではっきり出ますし、逆にCPU負荷をかけないPro Tools HDのような専用DSPボードでは、少々CPUスペックが低くても、レイテンシーには強く、低くできます。

レイテンシーとは、録音をするとコンピューターが録音信号の処理とDAWの動作処理分だけ、聞く信号が遅れて出てくる時間のことを言います。もちろん小さければ小さいほど、タイミングがずれませんから聞きながら録る多重録音にはいいわけで、MTRなら決して生じることのない時間です。しかしコンピューターを使う限り、避けることはできません。

この処理時間を稼いで安定したデータを送るようにするため、その作業領域としてもうけられているのが「バッファ」です。バッファはデータをためておく箱とでも言いましょうか、そこにためておけば流す信号に欠損が出ないので、連続データは途切れることがありません。CDウォークマンでも音飛び防止のためにバッファが入っています。それと同じです。

しかし、このバッファはデータをためるために少々時間を要します。これがレイテンシーの核たる部分です。ですから、数値が大きければ大きいほど安定したデータが流せますが、それだけプレイボタンを押してからのスタートが遅れます。

遅れるのが嫌でどんどん小さくすると、今度はCPUに高負荷がかかります。これはデータをリアルタイムでハードディスクから呼び出して、すぐに出力しなくてはならないためです。DAW上の処理もあるのに「いいから早く送れ~」といってあくせくすると、「あ、できません」とCPUオーバーロードが起きます。再生が止まっちゃうわけです。

CPUには同時にこなさなくてはならない仕事があるので、ある程度の考える余裕が必要なんです。そこで、バッファの調整がレイテンシーを小さくすることになります。

 

バッファの調整

具体的にはいろいろなパターンがあり、全部説明できるものではありません。なので基本だけは押さえておきましょう。

バッファは、オーディオインターフェースとDAWアプリケーションでの両方で設定が必要です。それとハードのスペックに見合う設定が望ましいです。これが一概に、この場合こう設定すると良いとは説明できないのが痛いところです。たとえ同じマシン、同じアプリ、同じI/Fを使用したマシンでも違うのです。

また、DAWの最低動作環境を確認してください。それを満たすPCでもバッファを調整し始めると即座にCPUオーバーロードに直面します。DAWの最低動作環境はあくまでもそのDAWが立ち上がりますよ、程度に覚えていてください。CPUもメモリー容量もその最低動作環境のマシンでは、大げさに言うと1~2トラック録音できるかどうかです。いくらCPUがDualでもPentium(Pentium Dual Core)やCeleron(Celeron Dual Core)では、きついでしょう。今のDAWでは最低でもCore 2 Duoは必要と思われます(確認はしていませんので、ご自身の環境で確認してください)。

はじめは平均的なところで1024から始めましょう。これなら、パワーとメモリーさえあればそこそこいけるはずです。ここから順に数値を低く設定していきます。512、256、128と順に低くしていくわけですが、まずは、録音トラック10トラックを目指します。音は何でもいいので、1トラックで最低2分は録ってみてください。1トラック録った後は、1トラックを再生しながら、2トラック目を録音します。同様に、3トラック、4トラック...と続けます。

だいたい4トラック再生しながら、5/6トラックにステレオ録音ができれば、4tr MTR同等の能力です。また、軽いソフトシンセなら1~2つくらいは同時に走らせられますが、フリーズトラックは併用することになるでしょう。

バッファが1024でだめなら数値を上げるしかないわけですが、レイテンシーは頭にくるほどはっきりとわかります。この場合は、モニタリングをミキサーにまとめることでゼロレイテンシーの実現が可能です(これは別の機会に詳しく説明します)。

 

MIDIにバッファ調整はありません

意外と勘違いしている人が多いようなので説明すると、バッファはあくまでもオーディオI/Fがオーディオデータをやりとりするためのものです。

私の知っている限り、MIDIドライバーでバッファを調整できるものは無いと思います(逆にあったら教えてください)。しかし、MIDIも通信手段ですからレイテンシーがないわけではありません。もし、極端に遅れる場合(たとえばキーボードに触れて、押し初めから鍵盤の下まで押しきって、1秒以上音が出ないくらい)は、別の問題があります。
 

1)MIDIドライバーのMIDI Thruがオフになっている

この場合、コントローラー(またはキーボードやシンセ)から出た信号はMIDI I/F→コンピューター→DAW→コンピューター→MIDI I/F→外部音源(またはキーボードやシンセ)という経路を通りますので、コンピューターで処理する時間分レイテンシーになるわけです。

MIDIドライバーのThruがオンならば、MIDI I/F内で信号がDAWとMIDI Outへ分岐しますので、コントローラーからMIDI I/Fに入った信号はそのままMIDI Outに出ることで遅れは無くなります。

また、DAWにも装備していることもあるので、その場合はこちらもオンにしてください(デフォルトでオンのはずですが...念のため)。
 

2)ソフトウェアシンセの発音が遅れる

ソフトウェアシンセは普通にオーディオと同じ扱いですので、ソフトウェア内にバッファ調整がついています。まずはこれを調整してください。ただし先のバッファと同じで、数値が小さいほどレイテンシーは小さくなりますが、CPU負荷が高まります。また0になることはありません。
 

3)10m以上のMIDIケーブルを使用している

最近ではこんなに長いケーブルは売っているところを見たことがないのですが、昔はよくありました。一般的にMIDIケーブルは15mまでとされ、10mでも怪しいです。7mならなんとか普通に聞こえます。まあ、短いに越したことはありません。
 

4)オーディオI/Fに搭載されているMIDI I/Fを使用の場合(要は一体型)

本来は別々に処理されるはずなので問題ないはずですが、ごくまれにドライバーが兼用で作られている場合、オーディオデータが混んでくると遅れることがあるようです。USBで繫ぐもので発生するそうです(話は聞くけど、自分での経験はありません)。これは、どうやらコンピューター本体がUSB1.1で、I/FがUSB 2.0 High Speed対応機でうまくセパレーション(分岐)が行われないことなどが原因のようです。ドライバーのアップデートを確認してください。
 

5)USBハブがUSB2.0 High Speedに対応していない

これも本来I/FはUSBハブを介することは推奨はしていません。なるべく直接コンピューターに繫いでください。