ソリッドステートアンプ

イコライザーを制する者、アンプを制するーRoland JC-120編

2019年 04月 12日 15:38 | カテゴリー: ソリッドステートアンプ , その他
2019年 04月 12日 15:38
ソリッドステートアンプ , その他

さて、問題はこいつです。1974年発売から現在に至るまで、一度も生産完了のないスーパーロングランなアンプです。今この2019年時点では基板の変更や仕様変更で、最低でも6つのバージョンがあると言われてます。ですが、基本的なサウンドにはほとんど変化がなく、JCサウンドは一貫して保たれているところがジャパンクォリティと言えるのではないでしょうか?

今やJCはどこにでもあります。レンタルスタジオにもライブハウスにもです。そしてソリッドステートゆえにほぼ安定したサウンドが出せるところが魅力で、そのクリーンサウンドは唯一無二といっても過言ではないでしょう。いかんせん、歪みに関しては苦手なところはありますが、エフェクターで音を作る方には、心強いはずです。

また幾つか機種のバリエーションも出てますが、JC-120だけがこのロングランリリースを続けています。内蔵のコーラスは世界初のコーラスエフェクトCE-1の元になったもの。2つのスピーカーで空間合成するというアイデアがその1つの理由です。

 

JC-120のトーン特性とスピーカー

これだけロングランなアンプなのに、実は詳細な資料が公開されていないのです。ググッて結構探しまして、海外でサービスマニュアルの一部を発見したので、自分が知っている情報を含めて修正しました。

先のMarshallやFenderで使ったアプリにJCのトーン特性がないので、目に見える特性グラフはありません。で、サービスマニュアル(3rd Editionのもの)の中にTone Control Rangeが載ってました。基板変更により2つあるようです。

3rd前期
Treble  35dB@10kHz
Middle  0.8dB@1kHz
Bass  18dB@100Hz

3rd後期
Treble  37dB@10kHz
Middle  0.6dB@1kHz
Bass  17dB@100Hz

とあります。

これはピークを指すので、いかにJC-120がクリーンアンプであるかわかります。そしてドンシャリでもあります。Middleを基準とするならば、Bassは+15dB以上あり、Trebleに至ってはBassのさらに倍の出力があります。そして当時はパイオニア製の楽器用特注スピーカーを搭載してまして、たしか上が10kHz(12kHzと言う説もある)までカバーしていたと思います。

前述のMarshallやFenderなどはスピーカーで5〜6kHzですから、さらに上が出ているので本当にクリーンが得意な訳です。そしてかなりのドンシャリです。しかもMarshallやFenderでは600くらいから7、800Hz、550HzといったローミッドにMiddleが設定されていますが、JCでは1kHzと結構上に設定されています。

これPAやっている人ならわかると思いますが、ミキサーに搭載されているチャンネルEQとほぼ変わりません。ましてや、電気的にもフラットにしようとすると真空管アンプ同様にTreble=0、Middle=10、Bass=0というのが当てはまります。つまりセッティングとしては真空管アンプと同様にしてもさほど違和感はないということです(前回のFenderの記事を参考にすると良いと思います)。

ですがギターの厚みであるローミッドはないは、プレゼンス領域である上しかいじれないは、はっきり言うとギターアンプのトーンとしては出来損ないもいいところです。ですがソリッドステートの安定感、レンジの広さで世界中に受け入れられているのは否めない事実です。多分にMiddleあたりはQ幅が広めに取られている事(BassやTrebleとの重なり具合も含めて)が、ギターアンプらしさを担っているはずです。

また少し前に発売された書籍で「リハスタ定番アンプ100%使いこなしガイド」だったか、そこに書かれていたのが公称(つまりRolandの推奨)で「マルチエフェクターを使うときの推奨JCのセッティングは、トレブル0、ミッド10、ベース0」だそうで、BOSSやROLANDマルチが比較的硬い音(音質的フラットのアンプにつなぐ事が前提)で作られているのを物語っています。

 

EQ補正

ことPAではギターに関してミキサーのチャンネルEQであまりHigh(つまり10kHz)を上げることはありません。どちらかというと下げるほうが多いと思います。そして昔から雑誌の企画などでは「JCのマーシャル化」的なサウンドメイキングの特集があったりします。

つまり考え方としてJCのPAミキサー的な音質をよりギターアンプらしくすれば、それっぽくなるのですが、それを歪みエフェクターだけで作ろうとしても、歪みはなんとかなったとしても厚みとか太さは無理なんです。

そこで必要なのがエフェクターのEQです。しかもBoss GE-7とか、6~7バンドじゃ役不足です。できればMXRの10バンドくらいのグラEQならできないことはないけど、ちょうどいじりたい帯域を持っていないからで、近いところはありますが果たして自分の感性に合うかどうかは耳次第です。できることならQ幅を持ったパラEQです。バンド数は必要な分だけ。まあ2バンドあればいい感じのところは押さえられます。

箱鳴り感は前記事から言い続けている「250Hz」です。ただ、厚みをつけるところ「500〜600Hz」は押さえておきたいので、600Hzあたりを少しだけあげておきます。パライコでバンド数が少ないなら250HzはQ幅で稼ぎます。アンプのMiddleは落とさずに1kHzはキープします。そしてアンプのTrebleは抑え気味にしてから、ちょうど良いとおもうところで調整します。できれば4kHzあたりにピークが作れると抜けが失われません。

これ、EQなしでアンプだけで聞くと普通にTrebleが落ちただけに聞こえるはずです。これにゲインが高めなオーバードライブ、または中域のあるディストーションと、後ろに先のEQを足せば、ソコソコ厚めな音ができます。つまりJCの出過ぎる高域を削り、ローミッドを増強すれば4発キャビのアンプのようにならせます。ただこのセッティングではクリーンにはなりません。そして使う歪み次第でマーシャルにもレクチにもなります。ちなみにMesa/BoogieのアンプやエフェクターについているEQ(グライコ)にはギターに則した帯域のように思います。まあBoogieの音にはなりますが、なかなか追い込める帯域です。お手持ちの方は試してみてください。

クリーンと併用する場合は、Fenderなんかと同じようなセッティングの上で、歪みのエフェクトにはmidが調整可能なもの、プリアンプ的なものなどを入れると良いです。低中域は十分に上げてください。ただし、JCのミッドは割と広いQ幅を持つので適宜調整です。当然Bright SWは入れません。

また、JCのクリーンを生かしつつ、歪みを太くしたい場合は、歪みのTrebleを下げるというのもあります。パッシブの1トーンだとただこもるだけなので任意として、ここは前述のように3バンドクラスのものやプリアンプ的なEQを持つ歪みのことです。歪みを踏んだ時にきらびやかな音がなくなるくらいまで下げてもいいです。あくまでもアンプでクリーンがしっかり出ているので、思ったほど抜けがなくなることはありません。

 

JCの音作りの注意点

自分の年齢は加味してください(笑)。若い人はまだまだでしょうが、40過ぎると聴覚は落ちてきます。自分ではそうでもないと思っていても意外とモスキート音が聞こえないとか、年を重ねると感じます。JCに限らずですが、「抜けや張りがない」とTrebleを上げ気味(Midより上げるということ)にする方は疑ったほうがよいでしょう。

聴覚は8kHzがしっかり聞けると通常会話は問題ない(つまりこれが聴覚の落ちていることがわからない理由)のですが、16kHzとなると既に40才台で聞こえなくなってくるようです。聴覚が落ちると音作りは変わります。YouTubeでも「モスキート音」で検索するといくつか出てきます。携帯のスピーカーではならない領域ですので、きっちりと再生できる環境で試すのもいいと思います。

周りの人や同年代ではJCで音が硬い(ここでは悪い意味で)、トレブルがうるさいと感じるセッティングを本当に良く耳にします。中域も出さないのでなんと硬いだけの音か、というセッティングは結構います。このような音ではアンサンブルに溶け込まないので、意識的に抑えたいところです。

ライブでマイク拾いの場合、一度スピーカーの前(マイクの位置)まで耳を落として聞いてください。これをやらないで立ち位置で聞くからハイ上がり、かつ音量がでかくなります。あくまでも、マイクはほぼ直接スピーカー音を拾うので、立ち位置で音作りするとかなり硬い音になります。特にJCだとそれが顕著に出ます。

 

あとは4 Cable Method時に間違えてReturnのR端子に刺さないことです。これ、マニュアルにもありますが、L(Mono)端子に刺さないと音が出ません。ライブだと焦って見落としがちなところです。もう一つ、完全な4CMではプリアンプはチャンネル2しか使えないと言うことです。チャンネル1では4CMはできません。Send & Returnを装備しているのはチャンネル2だけです。まあライブではこうしたトラブルの元になるようなセッティングはあまりお薦めしません(個人的には)。