チューブアンプ

イコライザーを制する者、アンプを制するーFender編

2019年 01月 08日 22:51 | カテゴリー: チューブアンプ , その他
2019年 01月 08日 22:51
チューブアンプ , その他

こちらも前振りで前回の記事「スピーカーを効率よくドライブさせる」を読んでいただけると理解が早いと思います。

 

Fenderについての前振り

70年代にさかのぼる古い話ですが、Grecoのギターを買ったときについてきたカセットテープで「成毛滋のロックギターレッスン」なるものがありました。成毛滋さんというとDr.シーゲルとして有名で、あのFlide Egg(高中正義氏の在籍していたバンド)のメンバーです。

成毛さんのこのカセットテープ(ソノシートなんかもありました。今の人にはわかるかな?ソノシートって...)は、ギターの神様のバイブルとして当時はこぞって聞いたものです。その中で常に成毛さんが言い続けていたことは「うまくなりたいならチューブアンプでギターを弾け」というもの。簡単に言うと、ギターのダイナミクスや歪みを体感するにはチューブが一番と言うことで、チューブアンプを使う人と使わない人では上達の度合いが10倍違うとまで言っていたのを思いだします。

この当時ってチューブアンプの代表的なものは、Fender Twin Reverb(銀パネ)がほぼどんなレンタルスタジオにもあったもので、あとは国産のグヤトーンとか、ジャグボックスですかね?それ以外はJCとかGA(Rolandのグライコ付き)、YAMAHAのFシリーズとかのソリッドがほとんど。Marshallなんてちょっとした高級なスタジオにしかなかった頃です(地元では)。

なので、Fenderで慣れている人は音作りがうまいと思います。だいたいどんなレンタルスタジオでもMarshallが常設するようになったのは80年台に入ってですかね?そうしてMarshallに鞍替えした人でも、Fenderをいじっていた人はだいたいうまい人が多いです。出音を聞けばすぐにわかります。

大げさかもしれませんが、チューブアンプの基本とも言えるのがFenderのアンプだと思いますので、じっくりと読んでみてください。

 

Fenderのアンプについて

大雑把にいうと現在のアンプを築いた始祖とも言えるメーカーです。先に紹介したMarshallも最初機はFender Bassmanを基にしているというのは、周知の事実。つまり数あるアンプを修理、改造などから改良、オリジナル回路へと昇華し、新鋭メーカーの参考となるメーカーです。それ故に基本とも言えるチューブアンプを挙げるとFenderに行き着きます。

前回のMarshall同様に、Fenderからの代表アンプはTwin Reverbです。

では、行ってみましょう。

 

Twin Reverbのトーン特性

ちなみにMarshallの時とは並び方が違いますので、じっくり読んでください。

07fender_b0m10t0.png

まずTwin ReverbのフラットなEQをみてみましょう。これが図7です。Marshallの時と同様にBass=0、Middle=10、Treble=0です。

微妙なんですが、Trebleが0でもMid10より気持ち上がってます。Bassも0なのにTreble10とほぼ同音量です。

つまりこの時点で、厚い音をだそうと思ったらMidが10でも良いことになります。

調整も本当ならオール5から始めるのではなく、Bass=0、Middle=10、Treble=0からはじめると、厚みを保ちながら迫力と抜けを作っていくことができるということになります。

08fender_b5m5t5.png

そして図8です。まずはオール5です。すごいMidのディップですが、元々Fenderはドンシャリの傾向が強いのです。

550Hzあたりでしょうか?

BassとTrebleが共にMidより+15db以上の音量差があります。+15dbってかなり差が出ます。完璧にドンシャリです。

聴感上でこれがさほどドンシャリと感じないならば、かなりスピーカーに助けられているということです(これは後述します)。

言ってみればCDで鳴るギターみたいな音です。アンプで鳴る音はレコーディングとは全く違うのでアンサンブルの中ではカッティングなんかは硬い音、ロックなバッキングなどではブーミーな音でベースと完全にかぶるので、もしベースの音が弱いならギターに完全にかき消されてしまう、なんともアンサンブルには溶け込まない音を作っていることになります。

09fender_B5m0t5.png

なら、いっそのことMid=0にしてみましょう。

これが図9で、オール5と比べるとさらにディップが激しくなります。音量差もBassとTrebleと比べて20db以上となり完全なドンシャリです。

そして、Marshallとの違いが1つあります。ミッドのピークが550Hzからシフトしていません。まっすぐに落ちてQ幅だけが狭まっています。

このシフトしないところとQ幅の変化するところがFenderの特長とも言えそうです。

10fender_b5m10t5.png

そして図10はMid=10(Bass=5、Treble=5)です。Mid=0から比べると上がってますが、10にしたところで、BassとTrebleの半分くらいでしょうか?

もちろん、ドンシャリのままで音は変わりません。ただし聴感上では結構厚く感じます。

でも、上の抜けもあるし、下の迫力もあります。このセッティングから音を作っていくと作りやすいはずです。

11fender_b6m9t7.png

では実際に僕がよく使うセッティングです。これが図11です。TwinはPresenceがないので、Trebleを少しBassより上げます。

そしてBassも5だとまだ薄くなるので、ほんの少しだけ上げます。Bass=6、Middle=9、Treble=7というセッティングです。

何は無くとも、ミッドは上げます。このミッドの出方を聴きながら、BassとTrebleを調整するとこんな感じですが、ギターインスト(フュージョン系など)のときはBassを4くらいまで落とす時もあります(他はそのまま)。また、逆に上が足りないときはBrightスイッチをオンにしてTrebleを0から上げて調整します(これも他はそのまま)。

この辺の調整は、実はTwin Reverbの機種によっても、搭載されたスピーカーによっても若干変えます。個人的には70年代の銀パネの、出力が1番でかくて歪みにくい135WのやつでJBLなんかついてると最高です。まあJBLだとスピーカー自体が甘いので、前述のBrightスイッチは使ったりします。

 

スピーカー特性

12jensen_c12k.png

とりあえず現行の65’ Twin Reverb リイシューについているスピーカーの特性図が図12です。Jensen C12Kです。再生周波数はおよそ75Hz〜6.2kHzくらいで、下は150Hzあたりをピークに下がり、400Hzあたりにディップ、そこから1.2kHzをピークにして上げ、1.5kHzが最大のディップ、1.7〜2.2kHzが最大ピークで、3.5kHzに軽いピーク、そこから5kHzにディップして、5.5kHzに軽くピークして6kHzから急激に落ちます。

この特性を図11に当てはめると、聴感上の音が見えてきます。Bassはある程度上げてもスピーカー側で150Hz以下がカットされるので、タイトな低音と言えます。ですからあんまり上げるとコンボなのでキャビがスピーカーの振動に負けてブーミーどころか、唸りをあげます(Twinを使ったことがあればわかります)。

なので、ほどほどにしながら、Midは足りないことはすでに証明されているので、ガンと上げてもまとまります。それはローミッドの400Hzあたりのディップと1.5kHzのディップでうまく切れているので、ギターの美味しいところはちゃんと残り、抜けの良いところまで補正されているということです。

Trebleはおよそ4kHzがピークとなっていますが、2.5kHz以上がスピーカーで−5dbほど落ちており、耳触りの良い(耳に入りやすい)ところだけ残して、高音を調整しています。現行のスピーカーですので、6kHzまでは出ていますが、これがビンテージものなら4kHzくらいになりますのでもう少しまろやかです。

RolandのJC120より上が出ない分、Twinの方がギターらしい音が出やすいわけです。僕自身フェイバリットアンプとしてはこのTwin Reverbなので、音は作りやすいアンプだと思います。

 

EQ補正

Marshallのところでお話ししました、魔法の帯域「250Hz」は覚えていますか?本当に魔法なのはここからで、実はこの「250Hz」はTwinでも使えます。まあコンボなので、ロックな箱鳴り感がどこまで必要か?というところですが、ブースト量を調整するとちゃんとハマります。

もちろん、これより小型なアンプ、Deluxe ReverbとかPrinstonあたりだとなんとも言えませんが、たとえばHot Rod Deluxeなどはいけます。一時期持っていたので、確認済みです。Blues Jrだとどうでしょう?今のIIIなら3バンドEQだし、箱がちっちゃくても鳴りそうな気はします。

13sm57.png

そして、さらにすごいのが、この250Hzってちゃんとマイクでも拾うんです。ライブハウスでよくみる、Shure SM57(図13)やEV e906(アンプにぶら下がってる四角くて、平べったいやつ、見たことありませんか?)でも、ちゃんと集音特性内なので無理なく拾えるわけです。

Twinですと、前述の通りかなりドンシャリですから、厚みをつけたいなら400〜800Hz前後です。突くんですが、極端にやらないことです。ここ、本当に太さを出すのであまり上げるとボアっとした感じになります。パライコですと400Hz前後をピークにして山(Q幅)はなだらかめで、少々です。グライコだと800Hzくらいはいじらなくても良いくらいなので、試して判断してください。厚みというより、ジャキジャキ感を薄めるくらいに考えてください。

それとは逆にもっとシャキーンという上が欲しいなら、アンプのBrightスイッチをオンにしてTrebleを0から上げて、ちょうどいいところを探すのもよいでしょう。TwinはPresenceがないので、こうして上を稼ぎます。以前やってた時はたしかTrebleは4くらいだったと思います。あまり上げるとハウるのでご注意のほど。

まあ、これだとエフェクターで歪ませると結構ガチガチになりますので、EQで抜けを作りたいなら(たとえばソロ時など)、2.5〜3kHzあたりを軽く上げます。ただし、ここも注意点としてハウりやすくなるので、歪みのドライブが上がっているなら要注意です。本来ならこの帯域はハウリング防止のためにカットすることが多いところです。特にグライコでピンポイントで落とすところというくらい、メジャーなポイントです。それだけに結構シビアなセッティングになります。

抜けより張りを出すなら4〜8kHzを上げます。Presenceがなくてもスピーカーがある程度稼いでくれるので、ここも過度なブーストはしないで味付け程度です。