その他

スピーカーを効率よくドライブさせる

2018年 12月 21日 02:03 | カテゴリー: その他
2018年 12月 21日 02:03
その他

スタジオへ入ったときやライブでのステージ上で使用するとき、または自分で買おうとした時にはアンプを選びますよね?それは自分が使いやすかったり、思った音が出せるなどの基準で選んでいると思います。

そのアンプ、駆動方式がソリッドステートだったり真空管だったり、または昨今の家庭の事情で小型の出力のもの、大型なら2段スタックだったりと、主にはヘッド(コントロール)が話の中心になります。

しかし、音が鳴っているのはスピーカーです。スピーカーを意識してアンプを選んだことってありますか?コンボならメーカー選定によるスピーカーがついてますが、特にヘッドに対してスピーカーを選べるスタックならメーカー推奨のキャビネットを選ぶと思います。

そのスピーカーでもで音はかなり変わるんです。コンボならまだ致し方ないのですが、2段スタックでは、たとえば普段スタジオでMarshall 1960A(Celestion G12-75)を使っていてもライブのステージでは1960AV(Celestion G12-Vintage)で今イチ迫力がなかったとかは良くある話です。

今回は、そうした「スピーカーの違い」ではなく、どんなスピーカーでも効率よくドライブさせて理想の音を得ようというコラムです。まあ人それぞれ好きなアンプがあるのは当然です。また、ライブでは自分で持ち込まない限り箱(ライブハウス)備え付けのアンプを使うのが常套です。そこでは意図せず普段使っているものと別なアンプを使わなくてはならないかもしれません。

しかし、好きなアンプ、嫌いなアンプ、駆動の違い(チューブやソリッドステートなど)でも、いい音を出すにはスピーカーを効率よくドライブさせる(ドライブとは歪みの意味ではなく駆動させるの意味です)ことで、抜けも迫力も出す事ができます。

この後の記事で代表的なアンプについての記事があるので、その前提として覚えておきたい事を集約しました。

 

オーディオ用との決定的な違い

一般的にオーディオ用スピーカーというと2Way以上が多いです。一部のカーオーディオ用や特別なフルレンジ1発は除いて、低域用のウーハー、中域用のスコーカー、高域用のツイーター(3Wayの場合)と言う名称は聞いたことがあると思います。この3つ(2Wayなら2つ)が1つのキャビネットに収まったのがオーディオ用のスピーカーです。これは、再生周波数に合わせた専用スピーカーを用意することで、全体の再生周波数を稼ぐとでも言いましょうか、可聴範囲を広く取っているということです。だいたい大型の3Wayで20~20kHzを目指して作られます。小型のブックシェルフ型でも80~22kHzくらいが現在の主流です。レコーディング用のモニターですと上は40kHzとかあります(それ以上も)し、下はサブウーハー(別のキャビ)で超低域(120Hz以下)を補ったりします。

一方楽器用(ここではギター用)では、でっかいスピーカーが1発(以上)である場合がほとんどです。言ってみれば特に再生周波数を分けることのないフルレンジなスピーカーです。その代わり、再生レンジはオーディオ用とは違い、結構狭いです。平均的に80~5、6kHzくらいでしょうか。対してギターの音域は6弦24フレットでE2(2.41Hz)~E6(318.51Hz)ですか、スピーカーとして音域は十分カバーできていると言えます。

オーディオスピーカーはアンプからの出力を綺麗にほぼすべての周波数を受け入れ、スピーカーが持つ周波数帯域を大きく上回る再生能力を持つアンプはあまりありません。しかし、ギターアンプの場合は違います。フルレンジのスピーカーはその再生周波数の狭さ故に、ギターアンプの再生周波数がスピーカーのレンジを遙かに超えるものが多いのです。

これが決定的な違いです。言ってみればアンプが大きく違うのですが、スピーカー自体も限界が狭いと言うのが、ギターアンプです。

 

ギターアンプのイコライジングを考える

よくスタジオでもライブハウスでも「あのアンプへたってるよね」などと聞きませんか?しかもそのへたったアンプしか使えない場合はどうしましょう?

そもそもスピーカーがへたる原因は、スピーカーへの過大な入力にあります。それは決して「音量」ではありません。過大なのはスピーカーの再生周波数の能力以上のブーストです。問題はギターアンプのイコライザーの範囲にあります。

代表的なアンプでMarshall 1959 HeadとMarshall 1960A Cabinet(Celestion G12-T75)の組み合わせを簡単に見てみましょう(あとで詳しい記事書きます)。

Celestion G12T-75.png

1960Aに搭載されたスピーカー、Celestion G12-T75は公称で80~5kHzの再生周波数を持ちます。対して1959 HeadのEQ、Bassは100Hzから60Hzへと、上げていくほどにピークの周波数が下がります。Bassは5あたりがピークを100Hzに保てます。6あたりでピークが80Hzくらいです。

これをスピーカーの再生周波数に当てはめると80Hz以下は急激に落ち込むので、Bass 6以上の設定は、音質的にブーミーになり無理なドライブをさせていることになり、強いてはスピーカーの寿命も縮めてしまいます。

同様にTrebleはピークが10kHzにあり、1~5で1kHzから5kHzがグワーッと上がります。もちろん10まで上げられますが、これもスピーカーの再生周波数に当てはめると5kHz以上が急激に減衰しますので、7あたりが出力的にも無理のないブーストとなります。2~3kHzあたりがスピーカーのピークで一番出力が出るところですので、そこをカバーするにも、まあ7あたりで止めて、それ以上上げることはやっぱりスピーカーに負担をかけることになります。

 

スピーカーを効率よくドライブさせる

前述のようにアンプのイコライザーの設定で、無理をさせない範囲がおわかりいただけたと思います。つまり、この設定内でアンプをセッティングすることがスピーカーを効率よくドライブさせる事になります。

効率よくドライブさせると、スピーカーが無理なく仕事をするので、「へたり」をあまり感じません。確かにスタジオやライブでのあの音量では確実に「へたり」はあります。それでも、へたったスピーカーをまだへたるようなアンプセッティングでは痛めつけているだけですから、へたった音でしか鳴らせないのです。

おおよそさっきのMarshallの例と他のアンプも変わりません。それがチューブアンプでもJCでもです。Middleに関してはいろいろなところで言っているように9くらいあれば音質的にフラットに持って行けるので、抜けはTrebleで、重さはBassで作れば、音質的にフラット方向に持って行くことが可能です。つまみフラット(Treble=5、Middle=5、Bass=5)と言うのが、ほぼ意味を持たないことがわかるでしょう。ギターにとってはドンシャリでしかないので一番おいしい中域を無駄にしています。ただでさえギターは中域の楽器です。

さっきのアンプセッティング(Treble=~7、Middle=9、Bass=4~6)にして、スピーカーを効率よくドライブさせることはアンプにも負担はかかりませんし、昨今ではエフェクターで音を作る人が大半でしょうから、エフェクターでそのアンプにあった音を作ることが自分の音への第一歩です。

それとロックで良く聞く「箱なり感」はまあ低音上げないと出ないものですが、イコライザーで別な帯域をブーストすることで簡単に補えます。しかもスピーカーに負担をかけないように、スピーカーの再生周波数内でその帯域を作るのです。これを知っていると、まずへたっているように感じることはありません。

 

次回はアンプの詳しい説明とその有効な帯域ついてのお話です。