チューブアンプ

音質を歴史で見る(1)

2010年 08月 03日 21:23 | カテゴリー: チューブアンプ
2010年 08月 03日 21:23
チューブアンプ

つらつら書いてたら結構長くなってしまったので、なんと4回に分けてお送りします。まずはその1回目。


現在から見るとヴィンテージアンプがそれを物語る足跡となるのでありますが、改めてその変遷を垣間見てみましょう。これは、今のメーカー品の基本的音質と捉えても良いと思います。

えと、結構メジャーどころから攻めたい(というかやはりマイナーは知らないことが多いので)。やはりここは今は亡きレオフェンダー氏に敬意を表したいのでここから。

レオフェンダー氏はご存知のとおりFender社を立ち上げたその人。ソリッドギターの第一人者としても知られており、彼の手によって生み出されたブロードキャスター(後のテレキャスター)、ストラトキャスター、そしてこのアンプパートで重要なテレキャスターベース(後のプレシジョンベース)など、ギター、ベースのほうでは説明は要らないでしょう。

彼は若い頃、ラジオの修理技師としてお店を出していたあたりから始まります。第2次世界大戦前のことです。で、この頃はまだ真空管もようやく生産され始めた頃で、音楽業界もまだビッグバンドなどでジャズ系のギタリストがホローボディで爪弾いていた時代です。しかし、このビッグバンドでは、爪弾くギターより当然生息(管楽器など)のほうが人数も多く、ボリュームもでかいという今では信じられないことでした。

そしてポップスが流行り始めた頃にはラップスティールが全盛。ビッグバンドも人数が減り、電気を使ったラップスティールを取り入れ、現在のバンドに近い編成となります。レオフェンダー氏はラジオ修理の傍ら、このラップスティールのアンプの改造を並行してやっていました。改造だけではなく製作もです。これが彼のアンプ製作の基礎ともなります。

そのラップスティールアンプをギター用に改造していた氏は、戦時中に開発された3極管の真空管を使ってのパワーアップも行っていたようです。とはいっても、せいぜい当時では10~15Wくらいがせいぜい。そしてスピーカーも6インチ程度で、到底レンジが広いとなどいえるものではなく、しかも、当時のビッグバンドギタリストたちには歪まないこと(きれいな音をだすこと)が大条件。この歪ませないというのがポイントで、そんな小さな出力とスピーカーで歪ませないようにするには、ギターの一番おいしい中域を落とすことがバランスよく再生できることを知っていたようです。これはラジオ技師だったこととも手伝ってトーン回路の定数設定に役に立っていたのではないでしょうか?

レオフェンダー氏は、前後の1946年にFender Electric Instruments CO. Ltd.を設立。まだ戦後ということもありラジオ修理をする傍ら、1948年に初のギターアンプTweed Champを発表します。1Vol、1Toneという小さなアンプです。これが前述のギタリストたちにヒットします。しかし、更なる要求がきます。それが「ホローボディでボリューム上げるとハウルんだよ」ということで、フェンダー氏はハウリにくいソリッドボディのギターの開発に打ち込みます。1951年にそれはブロードキャスターという名で登場しました。同年、ビッグバンドのコントラバスユーザー向けにもっと正確に音程を奏でられる(プレシジョン=正確な)ベース、プレシジョンベースも誕生します。

bassman.jpg

ギター用にはChampがありましたが、ベース用にはアンプがありません。そこで、開発が始まります。しかしギター用では中域を削ることで、その出力が10W程度まで可能だったものの、ベースのような低音域には、出力も必要だし、さてどうしよう...と。で、スピーカーの数を増やして(言ってみれば抵抗値を増やし)、ギター同様に一番耳に聞こえが良い中域を削って、聴感上同等の出力を得るために30Wと設定しました。これが1952年に発表されたTweed Bassmanです。同年後半ギター用の出力が大きいアンプTweed Twinが出るわけです。

この2つの(当時としては)大型アンプ(と言ってもコンボタイプですが)がFenderアンプの基礎になって現代まで引き継がれております。そのサウンドは、電気的特性としては中域をかなり抑えたドンシャリなアンプ、しかしスピーカー特性ともあいまって、ローミッドをディップにし、ローとハイで抜けを作るという音質です。雑誌によっては、Twin Reverbが電気的特性でベース0、ミッド10、トレブル0でフラットというグラフが載っており、これにスピーカー特性が加わるとややミッドが強調されるアンプです。この状態で、ベースとトレブルを10(いわゆるトーンのフルテン状態)にすると、ラウドネス効果のかかったアンプとなり、ミッドが少々へこんでベース、トレブルがミッドを上回るオーディオのようなレンジのアンプになります。

次回へ続く...